こんにちは!ソーシャルセリング.com編集長のすずかです!
今回は、Smart相談室 代表取締役・CEO 藤田康男さん初の書籍『社員がメンタル不調になる前に』の発売記念ということで、いろいろとお話をきかせていただければと思います。
よろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします!
「Smart相談室」がリリースされて3年半ほどが経ったわけですが(2024年5月現在)、すごく順調だそうで。いま導入社数がどれくらいなんでしたっけ。
250社くらいですね。登録カウンセラーさんも220名まで増えていて、相談件数で言うと8000件を越えました。
すごいですね~。個人的には導入している会社の規模や業態がバラバラだというのがおもしろいなと思っていて。
数名のスタートアップと社員1万人以上の大企業で同じニーズがあるって珍しいなと。
そうなんです。社員数6名の会社さんから、1万6000人の会社さんまでものすごく幅がありますから(笑)。逆に言えば「社員さんのメンタル不調」って、あらゆる会社さんが抱える普遍的な課題だったということなんです。
なるほど。読者さんの中には「Smart相談室」を知らない方もいるかと思うので、あらためてどんなサービスなのか教えてもらってもいいですか?
一言で言うと「法人向けオンライン対人支援サービス」で、社員さんがオンライン上でカウンセラーやコーチに相談できるサービスです。
ただ、従来のサービスとは明確に違う特徴がありまして、Smart相談室は「メンタル不調になってから利用するもの」ではなく、「メンタル不調になる前に利用するもの」だということです。
確かに一般的なカウンセリングサービスって、「不調を感じた方」が利用するものですもんね。
そんな中でなぜ「不調になる前に利用するサ―ビス」を作ろうと思ったんですか?
これはもう僕の原体験がキッカケなんです。僕自身が経験したある出来事が始まりでして。
へぇ~、それはどんな出来事だったんですか?
前の会社にいるとき、私は事業開発の統括の立場にいました。それこそ数百人のメンバーをまとめていたわけですが、やっぱりそれだけの人数になると、メンタル不調で退職してしまう方が出てしまっていたんですね。
なるほど……確かに数百人もいたらそういう方も出てくるでしょうね。
ええ。それはある意味仕方がないことだ、という認識の方も多いと思います。
でもね、僕はどうしても納得できなかった。「どうにか退職者をなくしたい」。「この課題を何とか解決したい」と思って、いろんな対策を打ったんです。
対策というと、例えば産業医さんに来てもらうとかですか?
そうそう。産業医の先生と契約をして面談してもらったり、ストレスチェックをしてみたり、あとは最近流行っていますがサーベイをやったりね。
なるほど~。それらは効果はあったんですか?
どれもサービスとしてきちんと設計されたものですから、ちゃんと効果はありましたね。
…ただ、ここでいう効果というのは「この人は確かに調子が悪い、ということがキチンとわかる」ということなんです。
ああ~、なるほど。
もちろんそういう結果に対して、時短勤務に切り替えるとか休職してもらうとか、場合によっては配置転換をしたりとかの対応は可能です。
それはそれで会社として担うべき責任なんですが、僕が実現したかったこととはちょっとズレていて。
そうですよね。藤田さんがやりたかったのは、「調子の悪くなった人をスクリーニングすること」じゃなくて、「そもそも調子が悪くならないための対策」ですもんね。
まさに仰るとおりで。で、そういうサービスはないかなと市場調査をしてみたんですが、ドンピシャのものは見つからなかったんですよ。
へぇ、そういうサービスが市場になかったというのは意外でもあります。
僕も意外でしたね。いろいろなセールスの方と話をしましたが、「調子の悪い人をより効率的に抽出できます」とか「調子の悪い人をこういうアプローチでサポートします」という設計ばかりだった。
つまり、全部「調子が悪くなってから」のサービスなんです。
なるほど。
僕はそうじゃなくて、「調子が悪くならないためにサポートする」サービスが欲しかった。
それでけっこう一生懸命探したんですけど、結局見つからなくて。じゃあもう、自分で作るしかないと。それがSmart相談室をつくるキッカケですね。
それで藤田さんはSmart相談室を立ち上げ、プロダクトづくりを始めるわけですね。最初はどんなことをされたんですか?
動機としては個人的な想いだったものの、実際にやるとなるとそこはビジネスですからね。まずはきちんと市場調査をしましたね。
メンタル不調になったことがある200名くらいの人にインタビューさせてもらって。
なるほど、本人たちの言葉を聞いたわけですね。その調査で何かわかりましたか?
ええ。皆さんメンタル不調になった経緯や状況は様々なんですが、2つの共通点が見えてきたんです。
1つは、「もっと早く気付きたかった」というもの。
「気付きたかったと」いうのは、自分がメンタル不調になっていることに?
そうそう。皆さん口を揃えて、「自分がメンタル不調だと気付いたのは、周りに指摘されたからだ」と言うんですよ。本人が「あ、私調子悪い」って気付くんじゃなくて、「なんか調子悪そうだけど大丈夫?」って言われて初めて気付いたと。
なるほど……でもそう言われてみると、なかなか自分では気付けない、もとい認められないかもしれない。
まさに仰る通りなんです。正確には、なんとなくは皆さん気付いてはいるんです。でも認めたくない。自分からカウンセラーさんに連絡したり、心療内科を予約するという行動までいかないんです。
ああ、確かにそこのハードルはけっこう高いかもしれない。
そうなんです。で、そういう状態のまま長い時間を過ごしていて、周囲から「病院行ったら?」と言われて仕方なく行ってみたら、「どうしてこんなになるまで放っておいたんですか。もう重症ですよ。すぐ会社休んでください」なんて言われちゃう。
なるほど、知らないうちに症状が重くなってしまっていたんですね。
そういうことです。もっと軽い時期だったらね、ちょっと飲みに行って発散するとか、2~3日有給を取ってリフレッシュするとか、そういうことでも改善できたかもしれない。
うんうん、確かに。
でも気付いたときにはもう遅かったと。たくさん薬が出て、毎日飲んでください、仕事なんてもってほのかですと。しかも精神疾患というのは、風邪みたいに数日で治るものじゃないわけです。
そうですよね。何ヶ月も、何年も、場合によっては一生付き合っていかなきゃいけない場合もある。
仰るとおりです。だからこそ「もっと早く気付きたかった」ということなんです。
実際にメンタル不調で苦労された皆さんが、「気付いたときには遅かった」「後戻りできなかった」という風に感じている。
あらためて考えると、重い言葉ですね。
ええ。そして2つ目の共通点、これは「もっと早く気付きたかったのになぜできなかったのか」ということの答えでもあるんですが、皆さん「相談したくてもできない環境だった」んですよ。
相談したくてもできない環境? それはどういうことなんでしょう。
そもそもメンタル不調の原因ってね、必ずしも会社の中で起こったことじゃなかったりするんです。プライベートの人間関係のことだったり、お金のトラブルだったり、あるいは介護や子育てによるものだったりする。
ああ~なるほど。会社に関係ないことだから、会社に相談するわけにはいかないと。
そういうことなんです。プライベートのことは、会社が用意してくれた産業医さんやカウンセラーさんには言い出しづらい。
そしてもう一つあるのが、仮に会社内の悩みだったとしても、それを言い出すと「自分の評価が下がるかもしれない」という不安ですよね。
そうか。いくら上司に「何か心配事があったら相談しろよ」って言われていても、あまり素直に本音を話すと自分の評価が下がるかもしれないと。
これは皆さん心当たりあるんじゃないでしょうか。
そうでしょう? というわけで、この2つの共通点を解決できるサービスを作ればいいんじゃないか? と。
ここを解消しない限り変わらないし、逆にここさえ解決できれば、社会は変わっていくんじゃないかって。
ということで、Smart相談室はその2つの課題を解決するサービスになったわけですね。
ええ。Smart相談室なら、どのタイミングで何を相談してもらってもいい。
「具合は悪くないけど、なんとなく話し相手がほしい」みたいなノリで相談できるから、「気がついたらもう手遅れだった」ということが起こりづらいんです。
なるほど。「調子が悪くなる前」から気軽に利用できると。
2つ目の課題、「本音を話したら評価が下がっちゃうかも」っていう部分はどう解決したんですか?
それはシンプルに、相談相手を完全な第三者にすることで解決しました。上司でも同僚でも家族でもない、ある意味「まったくの他人」に話を聞いてもらえるから、本音で話せるんです。
ああ、なるほど。
もちろん「他人」と言っても、産業カウンセラー、認定コーチ、国家資格キャリアコンサルタント、公認心理師などなど、しっかり資格を持ったプロたちです。
だからやっぱり高い効果が出る。
それは安心ですね。相談内容が誰かに漏れる心配もないでしょうし。
秘密はもちろん厳守します。だから誰に遠慮することなく、思う存分相談してもらえるというわけです。
なるほど。ちなみに先ほど既に導入社数は250社を越えていると仰っていましたが、リリース後にけっこうすぐ反応があったんですか?
おかげさまで、思っていた以上に興味を持っていただけましたね。
というのも、冒頭にもお伝えしたように「社員さんのメンタル不調」って、どの会社も抱えている課題だったんですよ。
特に人事労務担当の方にとっては、ものすごく心当たりのある話で。
ああ、そうでしょうね。皆さん以前からそれに悩んでいた。
そうそう。実は前からわかっていた、でもどうすることもできなかった、という状況だったわけで。
変に首を突っ込んでトラブルになるのも嫌だし。
なるほど。でも確かにそうですよね。ナイーブな問題だから、どこまで踏み込むべきかも難しいし。
そうなんです。皆さん共通して課題意識は持っていたんだけど、先ほどの私のように、それに対するソリューションを見つけられなかった。
そこにSmart相談室がリリースされたことで、言わば「待ってました!」という反応をいただけて。
素晴らしいですね。それでどんどん導入する会社が増えていったと。
……ただ、その一方で日本って「自己責任論」が強い国でもあるじゃないですか。
ちょっと嫌な言い方ですが、「個人の問題を会社がお金を出して解決するなんて」という反応はなかったんですか?
僕らが実際に言われたかは別として、日本ってまだそういう風潮は残っていますよね。「弱いからそうなるんだ」というような。
そうそう。そういう考えの方はまだいるんじゃないかなと。
そうかもしれませんが、僕はもうそういう時代じゃないと確信しています。
今後の社会の成長性とか個人の豊かさを考えると、会社がどんどん歩み寄って手を打つべきフェーズに入っている。
そして実際、多くの会社さんがそう考え、行動を始めているんです。
さて、そんな藤田さんがこのたび、初の書籍『社員がメンタル不調になる前に』を発売されます。
これはどういう内容の本なんですか?
そうですね。私がSmart相談室というサービスを通じて経験してきたことをまとめ、「メンタル不調になる前に対応することが重要なんだよ」ということをわかってもらうための本です。
なるほど。どんな方たちに読んでもらいたいと思いますか?
本の構成を考えるにあたって、4つのステークホルダーを想定しました。
即ち、①社員さん、②人事・労務担当者さん、③経営者さん、④カウンセラーさんなど対人支援をする方たち、です。
そこに当てはまる皆さんに読んでもらいたいなと思っていますね。
ある意味、社会で頑張ってらっしゃる全員が対象って感じですよね(笑)。
確かにそうですね(笑)。
ただね、じゃあなぜわざわざ4つに分けたのかというと、それぞれ立場や求めるものが違うからなんです。
だから個別にアプローチすることが必要だなと感じていて。
つまり、4つの立場それぞれに対するメッセージを送っていると。
そうとも言えますし、例えば経営者さんがこの本を読むことで、「ああ、人事労務はこんな風に悩んでいたのか」とわかったり、人事労務の方が「カウンセラーさんってこんなやり方で社員の相談に乗ってくれるんだ」ということがわかったりする。
自分以外の立場や考え方、あるいは頑張りを知ることで、相互理解が進むんです。
なるほど! それはすごくよさそうです。
ちなみに今回この本を出版しようと考えられたのは、何か理由があるんですか?
私たちが取り組んでいる「社員のメンタル不調」について、そしてそれに対するソリューションについて、より多くの方に知ってもらいたかったというのが前提です。
かといって、これまでネットで発信してきたことをそのまま書籍にしたということでもなくて。今回の本には、実はもう少し大きなメッセージを込めています。
大きなメッセージと言いますと?
そもそも現代って、「働く」ということ自体の意味が変わり始めている時代なんですよね。
転職する方もどんどん増えていますし、スキルアップへの興味関心も高くて、一生同じ会社で勤め上げるという人は珍しくなっている。
ふむふむ。確かに。
つまり社員=「会社の一員」という考え方が劇的に変わり始めているんです。
端的に言えば、皆さん「社員」ではなく「個人」という考えで会社勤めをするようになってきている。
ああ、確かにそういう雰囲気ありますよね!
そうなんです。「会社が人を雇ってこき使う」みたいな時代はもう終わりに差し掛かっていて、今後は「個人が働きやすい環境づくり」を考えられる会社じゃないとやっていけないんです。
そういう時代の変化、新しい価値観というものをもっともっと知ってもらいたい、という思いがありまして。
「会社と社員」という関係が、「会社と個人」に変わりつつある。そのことを多くの方に理解してもらいたかったと。
仰るとおりです。そういう意味で、今後はあらゆる会社が「個人の成長と組織の成長を一致させる」というコンセプトで動かないといけない。
会社だけが成長すればいいわけじゃなく、個人も同時に成長していける環境づくりをしないとダメだよね、ということです。
なるほど。だからこそ「個人(社員)のメンタルケア」も、組織(会社)の必須事項になってくると。
そういうことです。そしてここでいうメンタルケアというのは、「調子が悪くなった社員に対応する」ということだけじゃない。
再三お伝えしているように、「調子が悪くならないよう、事前に環境を整えておく」ということでもあるんです。
社会はもうそういう価値観で動き始めているということを、本作を読んで感じていただけたらいいなと思っています。
なるほど!今日は貴重なお話をありがとうございました。
藤田さんの著書『社員がメンタル不調になる前に』は6月21日発売になります。既にAmazonでの予約は始まっているので、ぜひ皆さんチェックしてください!
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