――今回は、経営者限定ビジネスマッチングプラットホーム「Bowers」(バワーズ)を運営されている星野一徳さんにお話をお聞きします。よろしくお願いします!
星野さん:こちらこそよろしくお願いします!
――さっそく星野さんについてお聞きしていきたいのですが、普段自己紹介するときってご自身のことをどう言いますか? やっぱり「起業家」ですか?
星野さん:カッコよく言えばそうなりますね(笑)。いま運営しているBowers以前にもいくつか事業をやっていたので。
――なるほどなるほど。まずは現在運営されているBowersについて、どんなサービスか教えていただいてもいいですか?
星野さん:ありがとうございます。最初にご紹介いただいたように、一言で言えば「経営者限定のビジネスマッチングプラットホーム」です。
いま約2600社(名)の経営者さんに登録いただいているんですが、一つ特徴を挙げるとすると「招待制」だという点です。Bowersからの招待があって初めて登録できるサービスになっています。
――なるほど。つまりそこで一定の審査が行われているわけですね。招待できるのが運営者のみで、ユーザーが自由に招待できるわけではないのもポイントですね。ちなみに登録するとどういうメリットがあるんですか?
星野さん:1つはBowersサイト上に会員ページを持っていただけることですね。事業内容やプロフィールはもちろん、「こんな会社と繋がりたい」といったことまで書いた専用のWebページをBowersが用意し、掲載させていただきます。
こういった情報発信を通じて、登録している他の経営者さんと繋がれたり、場合によっては仕事の依頼が来たりするわけです。
――なるほど〜。まさに「マッチング」の場になるわけですね。他にもメリットはありますか?
星野さん:はい。Bowers主催のイベントや交流会に参加いただけます。Bowersではオンライン・オフライン両方で積極的にイベントを開催していまして。
――へえ! ちなみにどんなイベントがあるんですか?
星野さん:すべて「経営者さんの交流イベント」ではあるのですが、内容はけっこう攻めているかもしれません(笑)。「野球好きな経営者さんを集めて野球について語りまくる会」とか、「お酒を飲みながらポケモンカードのバトルをする会」とか。
――それはすごく楽しそう! ちなみにBowersは完全無料なんですか?
星野さん:リアル開催のイベントについては会費をいただくこともありますが、会員登録やページ作成は無料で行えますし、Bowersを通じて別会社さんとマッチングした場合もお金は一切いただいていません。
――そうなんですね! …でも、となるとBowers側はどこでお金を得るんです? タダ働きになっちゃいませんか?
星野さん:笑。まぁ、もともとBowers自体がガンガン儲けようという事業ではないんですが、仰るとおり運営費は稼がないといけないので、別途有料プランを設けています。
例えば「従業員50名以上のIT企業を紹介してくれない?」というオーダーを頂いたら、登録企業さんの中から我々がピックアップして紹介する、というようなものですね。言わばマッチングのコンシェルジュ的なサービスです。
――なるほどなるほど。実際ニーズは高そうですよね。何千社の中からマッチする企業を探すのって簡単じゃないでしょうし。
星野さん:そうなんですよ。経営者さんってやっぱり忙しい人が多いので、割とご依頼いただくことは多いですね。
――ちなみにこのBowersの前にもいくつか事業をやられていたとのことでしたが、それはどんなものだったんですか? というか、そもそもなぜ起業家になろうと?
星野さん:うーん、実は僕、最初は起業家じゃなくて芸人になろうと思ってたんですよ。昔から芸人さんのラジオを聞くのが大好きで、そんな仕事を自分もしたいなぁと思っていて。
――芸人!? それはいわゆるお笑い芸人さんってことですか?
星野さん:そうそう。でもタイミングが合わず養成所に入りそこねちゃって。そこから気がついたら自分で事業を始めていたと言うか。
――ちょ、ちょっと待ってください。理解が追いついていません。
星野さん:そうですよね(笑)。順にお話すると…まず大学を卒業して普通に就職しました。いわゆる大手のグループ会社だったんですが、「昔ながらの伝統を重んじる」「年功序列で出る杭は打たれる」っていう風土が合わなかったんです。それで1年でリクルートに転職して。
――リクルートと言えばむしろ真逆のイメージですよね。完全実力主義で、むしろ新しいことを始めた人が評価されるというか。
星野さん:そうそう。そっちの方が僕にはシックリ来て。実際、当時はホットペッパーの営業とかをやっていて、けっこういい成績を残してましたね。
でも、先ほども言ったように「やっぱり芸人になりたい!」って思いが消えなくて。それで数年で本当に退職しちゃったんですけど、そのタイミングがこともあろうに養成所の願書の締切直後だったんですよ。
――なんと! つまり、養成所に入るために退職したのに、「今年はもう締め切りました。来年の募集まで待ってください」って状況になっちゃったわけですか。
星野さん:そうなんです。とはいえ、1年後まで何もしないわけにもいかないから、とりあえずフリーで営業代行みたいなことを始めたんです。僕より前に独立していた元リクルートの先輩たちから、「ウチの商品も営業してよ」みたいな依頼はちょこちょこあったので。
――なるほど。つまりそれが最初の事業になっていったと。
星野さん:まぁ事業と呼べるほどのものではないんですけどね。実際それだけでは食えないから、並行して「短期の仕事紹介」みたいなことも始めたりして。いわばちょっとした副業の斡旋ですよね。
――へぇ、今で言うタイミーみたいな感じですか。
星野さん:あんなキチンとしたものじゃなかったです。営業していると「なにかいい小遣い稼ぎない?」なんてよく言われたので、そういう方たちにLINEの公式アカウントに登録しておいてもらうんです。
で、クライアントさんから「こういう仕事があるんだけど、◯人くらい集めてくれない?」とオーダーがあったら、「この仕事やってくれる人いませんか?」とLINEで聞くみたいな。
――ははぁ、なるほど。それでマッチングしたら星野さんに手数料が入ると。
星野さん:そうそう。事業というより、お客さんの人集めをお手伝いしていた感じです。で、そんなことをしていたら、知り合いだった飲食店オーナーから「ウチのBAR、やってくれない?」なんて依頼されて。気が付いたらBARの運営も始めてました。
――へぇ〜! どんどんいろんなお仕事がスタートしていきますね。ちなみにそれはどんなBARだったんですか?
星野さん:最初は普通のBARだったんですけど、それだとなかなか集客も難しいじゃないですか。それで途中からイベントBARにしたんですよね。JAZZのバンドを呼んでライブを開催したり、野球やサッカーの大きな試合がある時に観戦イベントをやったりとか。
それはそれでおもしろかったんですが、なかなか思うようには儲からなくて。いろんな事業を同時並行しているから、どれも中途半端になっちゃうのかなぁと。
――確かにものすごく忙しそうですよね。営業代行に、仕事紹介に、BARの運営。
星野さん:そうそう。やっぱり何か1つに絞ったほうがいいのかなぁなんて思っている頃に、コロナが来るわけですよ。そうしたら仕事紹介のニーズが爆発的に高まったんです。要は、お金に困っている人が全国的に増えた。
特に個人事業主とかフリーランスの人が本業で食えなくなって、何か仕事はないかとウチのLINEにどんどん入ってきてくれるようになって。
――ああ、なるほど。確かにあの頃はそういう人も多かったでしょうね。ともあれ、図らずも仕事紹介の事業が本格的に動き始めたと。
星野さん:そうなんです。それで、この事業にフルコミットすることにしたんです。結果、それまでからは考えられないくらい売上が伸びた。
それだけでもびっくりなんですが、なんと「その事業を買いたい」って言ってくれる企業さんが現れて。リクルート時代の先輩から紹介された社長さんで、もともと良くしてくださっていた方なんですけど。それで事業譲渡したんです。それが2020年くらいかな。
――へぇ〜すごいですね。でも逆に言えば、フルコミットしていた事業を譲渡してしまうと、星野さんはやることなくなっちゃうんじゃ?
星野さん:譲渡後も1年ほどは運営に関わってたんですが、それも終わると、仰るようにやることはない(笑)。それで「じゃあ次はどんな事業をしようかな」と考えて始めたのがBowersです。
――なるほどなるほど。でも聞くところによると、Bowersも2024年に事業譲渡されたんですよね?
星野さん:そうなんですよ。Bowersの登録が1000社を越えたくらいのタイミングで、株式会社ポロックの足立社長といろいろと話す機会があって。正直僕は、事業譲渡するにしてもまだまだ先だろうなと思っていたんです。登録者数は順調に増えていたけど、正直マネタイズはほとんどできていなかったし。
でも、彼と話していたら、むしろ「ポロックの事業」として運営した方がお互いにいい未来があるんじゃないかと感じたんです。
――というと?
星野さん:その頃には既に「Bowersの後は何をやろうかな」と考えていて、「若い起業家の支援をしたいな」とぼんやりイメージが固まってきていて。そういう話をポロックの社長にしたら、「じゃあBowersの運営を通じてそれを実現したら?」という話になった。
というのも、ポロックは「グループ内で2000社の会社を作る」ってミッションを掲げているんです。つまり若い起業家の支援は彼らのやりたいことでもあった。Bowersの運営を、起業家を目指す若いインターン生なんかにやってもらったら、お互いのニーズがマッチするよねと。
――なるほど! それで実際にそうすることになったと。
星野さん:はい。Bowersを事業譲渡すると同時に僕もポロックにジョインしまして、責任者として運営させてもらっています。現在は僕と社員1名、そしてインターン7名で運営しています。
――素晴らしいですね。今後はどういう展望がありますか?
星野さん:そうですね。若い彼らの力を借りてBowersを大きくしつつ、一緒にBowersの新サービスなども開発していきたいです。そして彼らがいつか「自分で起業したい」となったときには全力でサポートして、「ポッロックグループの2000社」の一社になってもらえたら嬉しいですね。
――なるほどなるほど。星野さんとポロックさんの想いが見事にマッチしていますね。
星野さん:そうなんですよ。自分でも今の環境がすごく気に入っているので、今後の「起業家」としての活動は、「ポロックの一員」「Bowersの責任者」という立場から進めていくことになりそうです。
――ここからはソーシャルセリングについてお聞きしていきたいと思いますが、星野さんと言えばやはりXでの発信が印象的です。「経営者たるもの」という内容が多い印象ですが、ああいうのはすべて実体験からの投稿なんですか?
経営は綺麗事ではない。泥臭く、地道な努力の積み重ね。楽して儲けようとするな。愚直に顧客と向き合え。
— 星野一徳 l 起業家 (@ittoku_bowers65) January 27, 2025
星野さん:自分の経験から書くことも多いですが、他の経営者さんから影響を受けて書くこともありますね。
というのも、僕は「Xが趣味」ってくらいXを見てるんですが、やっぱりいろいろな経営者さんの言葉が刺さるわけです。特に感銘を受けたものは保存しておいて、それを自分なりの言葉に書き換えて発信させてもらったりとか。
――なるほどなるほど。ちなみに星野さんは現在1.6万人のフォロワーがいらっしゃるわけですが、それは最初から順調に伸びていった感じなんですか?
星野さん:うーん、そうとも言えますが、何かがバズって一気に増えたわけでもないんですよ。本当に徐々に、ゆっくりゆっくり増えていったというか。
――そうなんですね。これを見ている方には「全然フォロワーが増えない!」と困っている方もいらっしゃると思うんですが、ご自身が成功された理由はどこにあると思いますか?
星野さん:これはもう、「目的をはっきりさせる」ということだと思いますね。ビジネスに活かしたいのであれば特に、「誰にどうしてもらうことが目的なのか」を明確にする必要があります。要するにゴール設定です。ゴールが決まれば、そこから逆算すればいろいろなことが決まっていくので。
――なるほど。星野さんの場合はどういうゴール設定をされているんですか?
星野さん:僕はすごく明確で「1人でも多くの経営者さんにBowersに登録してもらうこと」です。あとはそれを実現する方法を考えていけばいい。
「経営者さんに登録してもらいたい」→「そのためには経営者さんに認知されないとダメだ」→「ということは経営者さんが興味を持ってくれる投稿をしないと」というように。
――確かにそうですね。逆に言えば、目的が曖昧だと手段もハッキリしないから、なかなか成功できないと。
星野さん:そうそう。言葉にすれば当たり前なんですが、意外と気づかずそういう状態に陥ってしまっている方は多いように感じますね。
じゃあ何でもいいからゴールを決めればいいのかというと、決してそういうわけじゃない。むしろそこの設計がものすごく大事なんですよ。
――と言いますと?
星野さん:たとえば、「有料の商品やサービスを買ってもらうこと」をゴールにするのはオススメしません。Xだけでそれを実現するのはすごくハードルが高いので。
例えば僕みたいに「無料サービスに登録してもらう」とか、「メルマガの読者になってもらう」とか、頑張っても「オンラインでのアポを取る」くらいじゃないかな。
それも、こちらのメリットのためにお願いするんじゃだめで、基本的には相手側にメリットがある話じゃないと難しいでしょうね。
――なるほどなぁ。「相手側のメリット」を考えて、しかもお金がかからない気軽な内容じゃないと厳しいと。
星野さん:そう思います。あとはコミュニケーションの方法も重要ですよね。いくら無料で、相手側にメリットがあるとしても、バリバリ営業っぽい口調で案内されるとちょっと嫌じゃないですか。
例えば僕はフォローしてくださった方に対してDMを結構送るんですが、その文面とかにはかなり気を使ってます。
――うーん、なるほど。そういう気遣いも大事だと。
星野さん:ええ。そもそもDM自体にあんまりポジティブな印象がないでしょう? だから相手の負担になるような言葉は送らないし、礼儀や誠実さが伝わるように一生懸命考えます。
でもそれって、相手側だけじゃなく、自分のためでもあるんですよね。だって、ゴリゴリの営業DM送ってたら、無視されたりブロックされたりなんて当たり前だし、下手したらクレームをもらうかもしれない。そんなDMを毎日送らなきゃいけないって、こちらもしんどいじゃないですか。
――確かにそうですね(笑)。ポジティブな反応をもらえた方が送る側もやる気が出ます。
星野さん:そうそう。だからたとえば僕は「フォローいただいてありがとうございます。そのお礼に招待制のプラットフォームに招待させてください。既に2600社の登録があり、マッチング機能は無料で利用できます」というような流れでDMをします。
そう言われて「このDM、すごく嫌だな」とはきっと思われないじゃないですか。
――ふーむ、なるほど。つまり「ゴール設定」と「営業っぽく見えないコミュニケーション」が大切なわけですね。
星野さん:そう思いますね。そこをしっかり意識するだけで、成功確率はグンと上がると思います。
――なるほど。大変参考になりました!今日は星野さんにお話をお聞きしました。ありがとうございました!
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