2025年6月から7月にかけて、X(旧Twitter)は「Everything App(すべてが揃うアプリ)」への変革を加速させる大規模なアップデートを実施しました。イーロン・マスク氏が掲げる野心的なビジョンの下、単なるSNSから総合プラットフォームへの転換が着実に進んでいます。
本記事では、ビジネスパーソンの皆様が押さえておくべき最新アップデートを、実務への影響と活用方法を交えながら解説します。
2025年6月1日、従来のDM(ダイレクトメッセージ)に代わる新しいメッセージングサービス「XChat」のベータ版が公開されました。最大の特徴は、Bitcoin方式のエンドツーエンド暗号化と4桁PINコードによる強固なセキュリティです。
ビジネスシーンでの活用を考えると、以下の機能が特に注目に値します。
これらの機能により、XはSlackやMicrosoft Teamsに匹敵するビジネスコミュニケーションツールとしての側面を持ち始めています。特に、既存のフォロワーネットワークを活かした商談や打ち合わせが、セキュアな環境で実施できるようになった点は大きな進化です。
2025年6月、Xはタイムライン上のリアクションUIを大幅に見直しました。最も象徴的な変更は、「いいね」のハートアイコンが親指を立てたサムズアップアイコンに置き換えられたことです。
さらに重要なのは、サムズアップ(賛成)とサムズダウン(不賛成)の両方のボタンが表示される新機能のテストです。これは単なるデザイン変更ではなく、ユーザーエンゲージメントの質的な変化を意味します。※日本国内ではまだ未実装
ビジネスへの影響:
2025年6月、Xは広告収益分配プログラムを大幅に拡充しました。これにより、企業のソーシャルメディア戦略に新たな選択肢が生まれています。
収益化の仕組み:
参加要件(2025年7月時点):
この変更により、企業は自社アカウントを収益センターとして運用できるようになりました。また、インフルエンサーマーケティングにおいても、より質の高いエンゲージメントを重視する傾向が強まることが予想されます。
イーロン・マスク氏は広告中のハッシュタグを「見た目が悪い」と批判し、全面禁止を断行しました。これは単なる美観の問題ではなく、AIによるコンテンツ分析への完全移行を意味します。
企業が取るべき対応:
この変更により、広告がより自然にタイムラインに溶け込むようになり、ユーザー体験の向上が期待されます。一方で、広告主は新たなターゲティング戦略の構築を迫られています。
2025年6月9日、XのタイムラインアルゴリズムにGrok AIが統合されました。これにより、フォロワー数や過去の「いいね」数に関係なく、投稿内容の質的評価が重視されるようになりました。
アルゴリズム変更の要点:
ビジネスアカウント運用への示唆:
Xは「X Money」という独自の決済サービスを年内にローンチする計画を発表しました。Visaとの提携により、以下の機能が実装される予定です。
さらに注目すべきは、将来的な暗号資産(ビットコイン、ドージコイン)への対応です。これにより、Xは単なるSNSから総合的な商取引プラットフォームへと進化することになります。
ビジネスへのインパクト:
2025年7月9日、CEOのリンダ・ヤッカリーノ氏が突如辞任を表明しました。広告業界出身の彼女の退任は、Xが広告依存型のビジネスモデルから、製品とサブスクリプション中心のモデルへ完全に舵を切ったことを示しています。
この変化は、企業のX活用戦略にも大きな影響を与えます。
機能 | Basic | Premium | Premium+ |
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基本機能 | |||
投稿の編集 | ✓ | ✓ | ✓ |
長文投稿(25,000字) | ✓ | ✓ | ✓ |
長尺動画のアップロード | ✓ | ✓ | ✓ |
エンゲージメント機能 | |||
返信のブースト(小) | ✓ | – | – |
返信のブースト(大) | – | ✓ | ✓ |
青いチェックマーク | – | ✓ | ✓ |
収益化機能 | |||
投稿で収益を得る | – | ✓ | ✓ |
クリエイターサブスクリプション | – | ✓ | ✓ |
高度な機能 | |||
X Proへのアクセス | – | ✓ | ✓ |
Grokへのアクセス(基本) | – | ✓ | – |
Grokへのアクセス(高度) | – | – | ✓ |
記事の投稿 | – | – | ✓ |
広告表示 | |||
広告の削減 | – | ✓ | – |
広告なし | – | – | ✓ |
※インドでは2025年7月に最大48%の値下げを実施。日本での価格改定は未定。
2025年夏のXアップデートは、単なる機能追加ではなく、プラットフォームの根本的な変革を示しています。ビジネスパーソンとして押さえるべきポイントは以下の3つです。
Xは「Everything App」への道を着実に歩んでいます。この変革期を好機と捉え、新しい機能を積極的に活用することで、競合他社に先んじたデジタルマーケティング戦略を構築できるでしょう。
特に、X Moneyのローンチは、ソーシャルコマースの新時代を告げるものです。今から準備を始めることで、新しいビジネスチャンスを最大限に活用できるはずです。
執筆者プロフィール:中元鈴香
BtoB領域に特化したライター。5年以上にわたり、SaaS、IT、人材、コンサル業界のコンテンツ設計とライティングに従事。上場企業のオウンドメディア立ち上げや、中小企業のSEO内製化支援も多数経験。
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