2023年10月のインボイス制度施行、そして改正電子帳簿保存法への対応により、日本企業の請求書管理は大きな転換期を迎えています。さらに、郵送費の値上げや深刻な人手不足も相まって、請求書業務のデジタル化は「あれば便利」から「なくてはならない」経営インフラへと変化しました。
実際、デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によれば、クラウド請求書受領サービス市場は2028年度に市場規模1,025億円、普及率60%に達すると予測されており、今後も急速な成長が見込まれています。
本記事では、2025年現在の日本市場で利用企業数が多い主要な請求書管理ツール11サービスについて、導入実績、料金体系、操作性を中心に徹底比較します。自社に最適なツール選びの参考にしていただければ幸いです。
まずは、各サービスの概要を一覧でご確認ください。
サービス名 | 主な対象企業 | 導入実績 | 初期費用 | 月額料金(税込) | 最大の特徴 |
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Bill One | 大企業 | 9,000社以上 売上シェア47% | 要問合せ | 要問合せ(100名以下無料) | 代理受領+99.9%精度保証 |
バクラク請求書 | 中堅〜大企業 | 10,000社以上 | 0円 | 44,000円〜 | 5秒でAI-OCR処理 |
TOKIUMインボイス | 中堅〜大企業 | 2,500社以上 | 要問合せ | 11,000円〜+従量課金 | 完全アウトソース型 |
楽楽明細 | 中堅〜大企業 | 12,000社以上 導入社数No.1 | 10万円〜 | 25,000円〜 | 発行業務特化型 |
BtoBプラットフォーム | 中堅〜大企業 | 37万社が利用 | 数十万円〜 | 要問合せ | 業界最大級ネットワーク |
MFクラウド請求書 | 中小〜中堅 | 数万社規模 | 0円 | プランによる | 会計ソフト完全連携 |
freee請求書 | 小規模〜中小 | 35万事業所以上 | 0円 | 0円〜 | 無料プランが充実 |
MakeLeaps | 中小〜中堅 | 5,000社以上 | 0円 | 0円〜 | 多言語・多通貨対応 |
Misoca | 個人・小規模 | 5,000社以上 | 0円 | 0円〜 | 月10件まで無料 |
請求管理ロボ | 中堅〜大企業 | 700社以上 | 要問合せ | 要問合せ | サブスク請求に特化 |
invox | 中小〜中堅 | 30,000社以上 | 0円 | 980円〜 | 圧倒的低価格 |
1位:Bill One(Sansan)
2位:TOKIUMインボイス
1位:楽楽明細(ラクス)
2位:MakeLeaps(リコージャパン)
1位:マネーフォワード クラウド請求書
2位:freee請求書
1位:invox
2位:Misoca(弥生)
Bill Oneの最大の特徴は、請求書の受領を完全に代行してくれる点です。取引先には専用の送付先を案内するだけで、紙・PDFを問わず、すべての請求書がクラウド上にデータ化されます。
メリット
デメリット
「爆速で楽に」をコンセプトに、AIによる5秒処理を実現。モダンなUIと頻繁な機能アップデートで、ITリテラシーの高い企業から支持を集めています。
メリット
デメリット
請求書の受領から仕訳計上まで、経理業務をまるごとアウトソースできるサービス。オペレーターによる確認で、ほぼ100%の精度を保証します。
メリット
デメリット
請求書発行に特化し、12,000社以上の導入実績を誇る業界標準サービス。既存システムとの連携性が高く、大量発行にも対応します。
メリット
デメリット
まず、自社の最優先課題を特定しましょう。
月間の請求書処理件数を把握し、従量課金も含めた総コストを試算することが重要です。
使用中の会計ソフトや販売管理システムとの連携可否を必ず確認しましょう。
特に初めてのデジタル化では、手厚いサポートが成功の鍵となります。
今後の請求書業務において注目すべきは、デジタルインボイス規格「Peppol(ペポル)」の普及です。これは請求書をPDFではなく、構造化されたデータとして送受信する仕組みで、OCR処理自体が不要になります。
既にマネーフォワード、弥生、インフォマートなどがPeppolサービスプロバイダーとして認定されており、将来を見据えたツール選定では、Peppol対応の有無も重要な判断基準となるでしょう。
請求書管理ツールの選定は、単なるコスト削減だけでなく、業務効率化とコンプライアンス対応の両面から検討する必要があります。
大企業なら Bill OneやTOKIUMインボイスのような精度保証型、中堅企業なら バクラク請求書やBtoBプラットフォームのような統合型、中小企業なら invoxやMisocaのようなコストパフォーマンス重視型がおすすめです。
まずは無料トライアルやデモを活用し、実際の操作感を確かめることから始めてみてはいかがでしょうか。デジタル化の波に乗り遅れないよう、早めの検討・導入をお勧めします。
筆者紹介:中元鈴香
BtoB領域に特化したライター。5年以上にわたり、SaaS、IT、人材、コンサル業界のコンテンツ設計とライティングに従事。上場企業のオウンドメディア立ち上げや、中小企業のSEO内製化支援も多数経験。
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