BtoBマーケティングに効果的なリード獲得手法まとめ10選
多くのBtoB企業が、昨今のデジタル化の波に伴い「オンライン上でのリード獲得」の重要性を再認識しています。従来型の営業方法(展示会、テレアポなど)だけでは十分なリード数を確保できず、成約率にも限界が生じるケースが増えているのです。一方で、オンラインマーケティングを活用すれば、ターゲット市場に対して効果的なアプローチを行い、見込み顧客を効率的に獲得できる可能性が高まります。
本記事では、BtoB企業の事業成長を加速するために有効なリード獲得手法を10個厳選し、それぞれのメリットや具体的な施策例、成功のポイントを解説します。自社のマーケティング施策を見直す際、ぜひご活用ください。
1. SEO(検索エンジン最適化)によるリード獲得
1-1. SEOの重要性
BtoBにおいても、潜在顧客は課題解決のためにインターネットで情報を検索することが一般的になっています。特に、高額商材や専門性の高いサービスを扱うBtoBでは、顧客が詳細な情報を求める傾向が強く、関連キーワードで上位表示されるコンテンツがあれば、大きなリード獲得チャンスに繋がります。
1-2. 抑えておきたいSEOの基本
- キーワード選定
- 商材やサービスに関連するビッグキーワードだけでなく、より購買意欲が高い「ロングテールキーワード」も重要です。具体的な課題や業界用語など、多面的に検索意図を分析してキーワードを洗い出しましょう。
- 良質なコンテンツ作成
- Googleなどの検索エンジンはユーザーにとって有益なコンテンツを高く評価します。単に文章量を増やすだけでなく、顧客の疑問を解決する実用的な情報を提供することが鍵です。
- 内部リンク最適化・サイト構造の整備
- 関連する記事同士をリンクでつなぎ、訪問者が知りたい情報へ素早くアクセスできるようにします。サイトマップやパンくずリストなどの設計も意識すると、クローラーへの評価も高まりやすくなります。
- 被リンク獲得
- 信頼できる外部サイトからの被リンクはSEOに大きく寄与します。プレスリリースやオウンドメディアの活用、SNSでの情報拡散、インタビュー記事などを通じて被リンクを増やす施策を検討しましょう。
1-3. SEOを活用したリード獲得のポイント
SEOで集客したユーザーをリード化するためには、ランディングページや問い合わせフォームの導線設計が重要です。また、ホワイトペーパーや資料ダウンロードのCTA(コールトゥアクション)を設置することで、より具体的な資料請求やお問合せへの誘導が可能となり、効率的にBtoBリードを獲得できます。
2. コンテンツマーケティングの活用
2-1. コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングは、顧客にとって価値ある情報(記事・動画・ホワイトペーパー・ウェビナーなど)を提供し、興味・関心を育むことで見込み顧客(リード)を獲得・育成していく手法です。BtoBの場合、専門性が高く、詳細な情報提供を求めるターゲットが多いため、コンテンツマーケティングは非常に有効なアプローチといえます。
2-2. 有効なコンテンツ形式と活用例
- ホワイトペーパー・eBook
- 業界の課題解決法やベストプラクティスをまとめた資料を無料ダウンロードとして提供し、その際にフォームでリード情報を取得する方法が一般的です。
- ブログ記事
- SEOにも有効ですが、単なるテキスト記事だけでなく、図解や事例紹介などを含めてわかりやすく解説すると興味を引きやすくなります。購買プロセスにあわせた各種記事を用意しましょう。
- 動画コンテンツ(動画マーケティング)
- デモ動画やオンラインセミナーのアーカイブ動画など、視覚的に理解しやすい形式のコンテンツは反響が大きい傾向にあります。YouTubeなどの外部プラットフォームを活用しつつ、自社サイト内でも配信することでリード獲得の入り口を増やせます。
- ケーススタディ・導入事例
- 実際の導入効果や課題の解決プロセスを示すコンテンツは説得力があり、購買検討の最終段階で背中を押してくれます。顧客企業へのインタビューとあわせて活用するのが効果的です。
2-3. コンテンツマーケティングを成功させるポイント
- ターゲットの明確化
- どのような業種・規模・役職の顧客を想定しているのか、ペルソナを具体的に定めるとコンテンツの方向性や書き方が定まりやすくなります。
- 購買プロセスを意識したコンテンツ設計
- 見込み顧客が抱える課題を段階的に解決していくようにコンテンツを用意し、興味喚起→課題認識→比較検討→意思決定の流れを支援します。
- コンテンツ配信の最適化(チャネル戦略)
- ブログやSNS、メールマガジン、広告など、複数のチャネルでコンテンツを配信することでリーチ数を増やし、リード獲得の確度を高められます。
3. PPC広告(リスティング広告・ディスプレイ広告など)の活用
3-1. PPC広告とは
PPC広告(Pay Per Click広告)は、クリック数に応じて広告費を支払うオンライン広告形態の総称です。代表的なものにはGoogle広告(リスティング広告)やFacebook広告、LinkedIn広告などがあります。BtoBでは特にLinkedIn広告やリスティング広告を活用するケースが多いです。
3-2. PPC広告のメリット
- 即効性
- SEOと比較して、広告を出稿してからすぐに露出やクリックを獲得できます。サービスローンチなど、短期的なリード獲得が必要な場合に最適です。
- ターゲティングの精度
- LinkedIn広告などでは企業規模や職種、所在地など詳細な条件でターゲティングできるため、興味関心の高い見込み顧客にアプローチしやすくなります。
- 予算コントロールがしやすい
- クリック単価や日予算の上限設定を行うことで、コストを調整しながらリード獲得を図れます。
3-3. PPC広告を使ったリード獲得のコツ
- ランディングページ(LP)の最適化
- 広告の訴求内容とLPに一貫性を持たせ、ユーザーが求める情報をわかりやすく提供することが重要です。また、CTAボタンやフォームを目立つ位置に配置し、シンプルな入力項目でスムーズにコンバージョンを誘導する工夫も不可欠です。
- キーワード選定と広告文のチューニング
- 広告で使用するキーワードやキャッチコピーが、ターゲットの検索意図や課題にマッチしているかを常に検証・改善します。A/Bテストを実施しながら最適化を進めると効果が高まります。
- 問い合わせフォーム設置の工夫
- LP上で連絡先情報を得る場合、必要最小限の項目に絞ることが理想的です。BtoBの場合は会社名・役職・メールアドレス程度でも、リードとしての情報価値は十分高いケースが多いです。
4. LinkedInやSNSを活用したリード獲得
4-1. BtoBにおけるSNS活用の意義
BtoC向けにはTwitterやInstagramがよく活用されますが、BtoBではLinkedInをはじめとしたビジネス特化型SNSが注目を集めています。特に海外向けサービスやグローバル企業とのやり取りを想定している場合、LinkedInを使ってリードを獲得する企業が増えています。
4-2. LinkedInでの具体的なリード獲得手法
- LinkedIn広告
- 職種や業界、企業規模などのセグメントを指定し、ターゲットに応じた広告を配信できます。BtoBの精度が高いため、興味を持つ潜在顧客に直接アプローチが可能です。
- 企業ページ・個人プロフィールの最適化
- 自社の専門性や実績をプロフィールや企業ページに明確に記載し、ターゲットの興味を引くコンテンツや記事を定期的に投稿することで、見込み顧客との接点を増やします。
- グループへの参加・情報共有
- 業界やテーマごとのグループが存在するので、そこで有益な情報提供を行うと信頼度が高まり、問い合わせやメッセージを受ける機会が生まれやすくなります。
4-3. その他SNSの活用アイデア
- Facebookページ・グループ
- 国内向けBtoBでも、Facebookグループを活用しているコミュニティは一定数存在します。自社の専門分野に関する情報を積極的に投稿し、認知度・信頼度を高めることも検討しましょう。
- Twitterでの情報発信
- 担当者レベルでTwitterを活用しているユーザーも少なくありません。専門的な情報や最新トレンドを発信し、見込み顧客の獲得に繋げる事例も増えています。
5. メールマーケティングによるリード育成・獲得
5-1. メールマーケティングの位置づけ
メールマーケティングは、すでにコンタクト情報を得ているリードに対して有益な情報を定期的に配信し、関係を深めていく施策です。BtoBの場合、導入までに複数の担当者・ステークホルダーの合意が必要となるケースが多いため、長期的にアプローチできるメールは重要なチャネルとなります。
5-2. 効果的なメールマーケティングのポイント
- セグメンテーション
- 役職・業種・企業規模・興味分野などでリストをセグメントし、それぞれに合った情報を届けます。汎用的なメールよりも、個別ニーズに合致した内容が好まれます。
- パーソナライゼーション
- 企業名や担当者名などの情報をメールに差し込み、個別感を演出します。開封率やクリック率の向上が期待できます。
- 適切な送信頻度
- 配信数が多すぎると購読解除につながり、一方で少なすぎると関係構築が進みません。平均的には月1~2回程度が多いですが、顧客の反応を見ながら調整することが重要です。
5-3. メールでリード獲得を促進する方法
すでにリストに登録しているリードだけでなく、新規リードを獲得するために、WebサイトやSNSで「メールマガジン登録」を促すCTAを設置すると効果的です。また、ホワイトペーパーやイベントの案内をメールで配信し、追加の問い合わせやアポイントを狙うなど、複数のタッチポイントを用意することも有効です。
6. ウェビナー・オンラインセミナーの開催
6-1. ウェビナーが注目される理由
コロナ禍を契機にオンラインイベントの需要が大幅に増え、BtoBでもウェビナー(オンラインセミナー)が一般的なマーケティング手法となりました。場所や移動時間の制約が少ないため、多くの見込み顧客が気軽に参加できます。
6-2. ウェビナーの企画・運営ポイント
- テーマ設定
- ターゲットが抱える課題や興味を引く最新トレンドをテーマに選定します。タイトルは魅力的で、価値が明確に伝わるものが望ましいです。
- 集客方法
- 自社のメールリストやSNS、Webサイトでの告知、外部メディアとの連携などを駆使して見込み顧客を集めます。ウェビナー専用のLPを用意し、フォームで事前登録を促すことでリード情報を確実に獲得できます。
- 運営体制とプレゼン準備
- 事前にリハーサルを行い、回線トラブルや音量の問題をチェックしましょう。講演者(スピーカー)だけでなく、チャットサポートや質疑応答を担当するスタッフを配置して円滑な運営を目指します。
6-3. ウェビナー後のフォローアップ
ウェビナーを開催するだけでなく、参加者へのフォローアップメールや資料配布、録画コンテンツの視聴促進などを行うと、追加の問い合わせや商談につながりやすくなります。さらに、ウェビナー登録時に取得した情報を基に、興味度合いの高い参加者をリードとして管理し、アプローチする流れを作ることが大切です。
7. オフラインとオンラインを組み合わせたハイブリッド施策
7-1. 従来型施策とデジタル施策の連動
展示会やセミナーといったオフライン施策は、直接対面でコミュニケーションが取れるため、高い信頼関係を築きやすいというメリットがあります。一方、オンライン施策はターゲットに限定なく情報を提供できるため、見込み顧客の母数を増やすのに向いています。両者を連動させることで、より多くのリードを獲得できます。
7-2. オフラインイベントでのデジタル活用例
- QRコードを活用したフォーム誘導
- 名刺交換だけでなく、展示ブースにQRコードを設置し、スマホから簡単に資料請求フォームやニュースレター登録ができるようにすると効率的です。
- リアルイベントのオンライン同時配信
- セミナー会場の講演をオンライン配信することで、遠方や海外の見込み顧客にもリーチできます。視聴登録を通じてリード情報を獲得することも可能です。
- イベント後のフォローアップ
- イベント参加者やブース訪問者に対して、メールやSNSを通じて追加情報を提供すると、リードのナーチャリング(育成)が加速します。
8. パートナー・アライアンスでのリード共有
8-1. パートナー戦略が重要な理由
BtoBの商材は一社ですべてを完結できない場合が多く、周辺サービスと補完し合うことで「総合的なソリューション」を提供できるケースも少なくありません。そのため、パートナー企業との協業やアライアンスを組むことで、お互いの顧客基盤を共有し、リード獲得を相互に促進できます。
8-2. パートナー選定のポイント
- 顧客層の重複・親和性
- 自社と似た顧客層をターゲットとしている、もしくは自社商材と補完関係にある企業を優先的に検討します。
- ブランドイメージと信頼性
- 協業相手のブランドイメージが自社のブランドを毀損しないか、また相手のサービスのクオリティが十分かなど、長期的な視点で信頼関係を築けるかが大切です。
8-3. パートナー協業での具体的施策
- 共同イベント・共同ウェビナーの開催
- 両社の顧客リストに対して告知することで多くの集客が期待できます。セミナーのテーマも両社の得意分野を掛け合わせると相乗効果が高まります。
- 共同ホワイトペーパーの作成
- 両社のナレッジをまとめたホワイトペーパーを無料配布する形式にし、ダウンロードフォームでリード情報を共有します。
- 紹介制度の構築
- 顧客に紹介プログラムを案内し、クロスセルやアップセルの機会をお互いに作ることでリード数や売上を伸ばす試みも増えています。
9. リードナーチャリングとスコアリングの導入
9-1. リードナーチャリングとは
リードナーチャリングは、すぐに購入意欲の高くない見込み顧客に対して継続的に情報提供を行い、購買意欲を高めていく施策を指します。BtoBでは、商談までに時間を要する場合が多いため、リードナーチャリングは成果を左右する重要なプロセスです。
9-2. リードスコアリングの重要性
見込み顧客の行動や属性に応じてスコアを付与するのがリードスコアリングの考え方です。例えば、「ホワイトペーパーをダウンロードした場合は+10点」「ウェビナー参加で+20点」「問い合わせフォーム送信で+30点」など、行動の価値に応じた点数を与えます。その累積スコアが高いリードは購買意欲が高いと判断できるため、効率的な営業アプローチが可能となります。
9-3. マーケティングオートメーション(MA)の活用
リードナーチャリングやスコアリングを手動で管理するのは手間がかかります。そこで、マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入すると、リードの行動を自動的にトラッキングし、スコアリングに基づいたメール配信やSNSでのリターゲティングなどが実施できます。代表的なツールにはHubSpotやMarketo、Pardotなどがあり、自社の規模や目的に合った選定が大切です。
10. データドリブンなアプローチによる改善サイクル
10-1. データ分析の重要性
リード獲得施策の効果を最大化するためには、データの活用が欠かせません。Googleアナリティクスや各種広告レポート、MAツールで取得したアクセス数・CVR(コンバージョン率)・問い合わせ数・商談化率などのデータを元に、施策の改善ポイントを洗い出します。
10-2. PDCAサイクルでの継続的な最適化
BtoBのリード獲得には時間がかかる場合が多いですが、以下のPDCAサイクルを回すことで成果を安定的に伸ばせます。
- Plan(計画)
- 目標KPI(リード数、商談化率、受注率など)を設定し、具体的な施策を立案します。
- Do(実行)
- 広告出稿、コンテンツ公開、ウェビナー開催など、計画に沿って施策を実行します。
- Check(検証)
- データを収集し、目標に対してどの程度達成しているかを数値で確認します。
- Act(改善)
- データ分析から得たインサイトを元に施策を修正・強化し、次のサイクルへ反映します。
10-3. A/Bテストやマルチバリエイトテストの活用
ランディングページやメールのタイトル、広告のコピーなど、あらゆるクリエイティブ要素をテストし、最も効果の高いパターンを見極めることで、リード獲得率を段階的に改善できます。テストの設計やデータ分析に時間はかかるものの、長期的な成果向上には欠かせない手法です。
まとめ:効果的な施策組み合わせでBtoBリード獲得を最大化
本記事では、BtoB企業が事業成長を加速させるためのリード獲得手法を10選ご紹介しました。重要なのは、これらの手法を一つひとつ単発で終わらせるのではなく、全体のマーケティング戦略の中で連動させ、継続的に最適化を行うことです。SEOやコンテンツマーケティングで長期的なリード獲得基盤を作りつつ、PPC広告で短期的な成果を得る、といったバランスの取れた戦略がポイントになります。
また、リード獲得後のナーチャリングやスコアリングを徹底し、商談化・受注に繋げるプロセスまでを見据えた仕組み作りが欠かせません。オンライン・オフラインを問わず、あらゆるチャネルで発生したリードを一元管理し、有望度合いを可視化することで、マーケティングと営業が協力して成約率向上を図ることが可能になります。
継続的にデータを分析し、成果を評価しながらPDCAを回すことで、自社に最適なリード獲得施策を確立していきましょう。市場環境や顧客ニーズが変化し続ける限り、マーケティング施策も進化を続ける必要があります。本記事で紹介した方法を参考に、事業成長に向けたリード獲得施策のアップデートをぜひ実行してみてください。
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