【初心者にもわかる】ソーシャルセリングとは?実践方法や導入効果を解説

こんにちは!ソーシャルセリング.com編集長の中元鈴香です。SaaS、IT、人材、コンサル業界で5年以上、企業のコンテンツマーケティングを支援してきました。

最近、営業やマーケティング担当者の方から、こんな声をよくお聞きします。

「テレアポのアポ率が年々下がっている」 「SNSをビジネスに活用したいけれど、何から始めればいいのかわからない」 「若手社員が従来型の営業手法に抵抗を感じている」

もしあなたも同じ悩みを抱えているなら、この記事がお役に立てるはずです。

本記事では、現代の法人営業に不可欠となりつつある「ソーシャルセリング(Social Selling)」について、初心者の方にも実践しやすい形で解説します。この記事を読むことで、以下のことが理解できます。

  • ソーシャルセリングの基本概念と従来営業との違い
  • 今、ソーシャルセリングが注目される3つの理由
  • 明日から始められる具体的な5ステップ
  • 国内外の成功事例から学ぶ導入効果

それでは、詳しく見ていきましょう!

ソーシャルセリングとは?従来の営業との違い

ソーシャルセリングの定義

ソーシャルセリングとは、LinkedInやX(旧Twitter)、FacebookなどのSNSを活用して見込み客との信頼関係を構築し、最終的に購買へと繋げる営業手法です。

重要なのは、これが単なるSNS上での宣伝活動ではないという点です。一方的に商品を売り込むのではなく、見込み客にとって価値のある情報を提供し、対話を重ねることで長期的な関係を築くことがソーシャルセリングの本質となります。

従来型営業との明確な違い

従来の営業手法とソーシャルセリングには、大きな違いがあります。以下の表で比較してみましょう。

従来型の営業では、営業担当者が主導して商品やサービスの情報を見込み客に伝えていました。一方、ソーシャルセリングでは、見込み客が自ら情報を探し、営業担当者を見つけ出すという逆転現象が起きています。

なぜ今、ソーシャルセリングが重要なのか?3つの理由がこちら

「なぜ今、わざわざSNSを使った営業に取り組む必要があるのか」と疑問に思う方もいるでしょう。ここでは、ソーシャルセリングが現代のビジネスに不可欠である3つの理由を、最新データとともに解説します。

理由1:市場の急成長と営業成果への直接的な貢献

ソーシャルセリング市場は、世界的に急成長しています。具体的な数字を見てみましょう。

  • グローバル市場:関連ソフトウェア市場が2030年までに約60億ドル規模へ(現在の約3倍)
  • 国内市場:SNSマーケティング市場が2025年には約1.1兆円規模へ(現在の約2倍)

さらに注目すべきは、成果への直接的な貢献です。ある調査によると、ソーシャルセリングを実践する営業担当者は、実践していない担当者と比較して目標達成率が平均23%高いという結果が出ています。

市場の成長と実績の両面から、ソーシャルセリングの重要性が証明されているのです。

理由2:購買行動の変化と深刻化する「信頼の危機」

BtoB企業の購買担当者の行動は、大きく変化しています。購買を決定する際、Google検索に次いでX(旧Twitter)などのSNSを情報収集に活用しているのです。

この変化が意味することは何でしょうか?見込み客は営業担当者から連絡が来る前に、すでにSNS上であなたの会社や製品について調べているということです。

さらに深刻なのは、Edelman Trust Barometerの調査が示す「信頼の危機」です。現代は企業からの公式情報を人々が簡単には信じなくなった時代です。一方的な広告よりも、SNSを通じた専門家個人の発信や、本物の人間関係から生まれる信頼が購買の決め手となっています

この「個人の信頼」を重視する流れは、AI技術が進化するほど、さらに加速しています。

理由3:AI時代における「人間らしさ」の価値向上

AIによるコンテンツ生成が当たり前になる中で、皮肉にも「AIではない本物の人間のやり取り」の価値が急上昇しています。

専門家は、AIには再現できない「生々しさ」を持つ「実写(Live-Action)」のコンテンツが再評価されていると分析しています。整いすぎたAIの文章や画像が溢れるSNSだからこそ、人間味のある投稿や顧客一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションが際立つのです。

人間的なつながりを築くソーシャルセリングは、AI時代において他社と差別化するための強力な武器となります。

ソーシャルセリングを始めるための5ステップ

ここからは、初心者の方がソーシャルセリングを始めるための具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:目的とターゲットを明確にする

まずは、何のためにソーシャルセリングを行うのか(目的)、誰に情報を届けたいのか(ターゲット)を明確にしましょう。

目的の例として、以下のようなものがあります。

  • 新規リードを獲得したい
  • 自社ブランドの認知度を高めたい
  • 既存顧客との関係を深めたい
  • 業界での専門家としてのポジションを確立したい

次に、アプローチしたい見込み客の具体的な人物像(ペルソナ)を設定します。年齢、役職、業界、抱えている課題などを具体的に描き出すことが、全ての活動の土台となります。

ステップ2:自社に合ったSNSプラットフォームを選ぶ

ビジネスでよく使われる主要なSNSプラットフォームには、それぞれ特徴があります。自社の目的やターゲットに合わせて最適な場所を選びましょう。

複数のSNSの役割を明確にして使い分ける「メディアポートフォリオ戦略」も有効です。

ステップ3:専門家として信頼されるプロフィールを作成する

SNSのプロフィールは、あなたの「デジタルの名刺」です。見込み客があなたのプロフィールを見たときに、「この人は誰で、自分にどんな価値を提供してくれる専門家なのか」が一目でわかるように作り込みましょう。

プロフィールに含めるべき要素は以下のとおりです。

  • 専門分野と経験年数
  • 解決できる顧客の課題
  • 具体的な実績や成果
  • プロフェッショナルな顔写真
  • 連絡先や会社情報

抽象的な表現ではなく、具体的な数字や事例を盛り込むことで、信頼性が高まります。

ステップ4:価値あるコンテンツで「GIVE」を徹底する

ソーシャルセリングの核心は、「売り込み(TAKE)」ではなく「価値提供(GIVE)」です。まずは、あなたの知識や経験を惜しみなく提供し、顧客の課題解決に貢献することを徹底しましょう。

コンテンツのアイデア例

専門知識の共有:製造業のスズキ機工が、ニッチな専門情報を発信し続けて業界の第一人者としての地位を築いたように、あなたの専門分野のノウハウや分析を共有します。お客様からよく聞かれる質問への回答を発信してみましょう。

企業の理念や文化の発信トゥモローゲートが「世界一変わった会社で、世界一変わった社員と、世界一変わった仕事を創る」という世界観を発信してファンを増やしているように、企業のビジョンや社風を伝えることで共感を呼びます。自社の製品ページには書かれていない「なぜこの事業をしているのか」という想いや、社内のユニークな文化を発信してみましょう。

親しみやすいコンテンツ:電子契約サービスのGMOサインが公式キャラクターを活用しているように、BtoB特有の堅いイメージを払拭し、親近感を持ってもらうための工夫も有効です。堅いと思われがちな自社サービスを、イラストやキャラクターを使って親しみやすく紹介する方法を考えてみませんか?

ステップ5:日本の商習慣に合わせた関係構築

日本市場でソーシャルセリングを成功させるには、日本特有のコミュニケーション文化を理解することが不可欠です。

DMは「量より質」で:調査によると、1回あたりのDM送信数は「11〜15通」程度が最も多く、むやみに数を送るよりも、相手の課題や投稿内容に合わせてパーソナライズされたメッセージが最も効果的です。

返信がない場合は「間接的」にアプローチ:フォローアップの際、メッセージを再送するよりも「相手の投稿へのいいね・コメント(52.9%)」という間接的な方法で関係を維持する人が多いことがわかっています。これは、相手に負担をかけない日本らしい「察し」の文化を反映したアプローチと言えるでしょう。

ソーシャルセリングの実践事例

ソーシャルセリングが実際にどのような成果をもたらすのか、国内の実践者の成功事例を見てみましょう。

事例1:SecureNavi株式会社 ほったけんた氏 – SaaS営業のキャリアを活かした専門性の発信

ISMS認証やPマーク取得を支援するSecureNaviでビジネス本部長を務めるほったけんた氏は、個人のXアカウントで3万人以上のフォロワーを獲得しています。

パソナで人材業界、ラクスでSaaS業界と合計10年以上の経験を積んだ後、SecureNaviに転職。その豊富なキャリアと専門知識を活かし、SaaS業界やインサイドセールスに関する実践的な情報を発信し続けています。

ソーシャルセリングの成果

  • Xのフォロワー数3万人以上を獲得
  • 業界の専門家として認知度を確立
  • SaaS業界における影響力のあるインフルエンサーとしてポジションを確立
  • SNS経由での問い合わせや商談機会の創出

ほったけんた氏の事例は、長年培ってきた専門知識を惜しみなく発信することで、個人としてのブランドと企業の認知度を同時に高めることができることを示しています。

事例2:株式会社ポロック 星野一徳氏 – 経営者コミュニティとSNSの相乗効果

経営者限定ビジネスマッチングプラットフォーム「Bowers」の責任者を務める星野一徳氏は、Xで経営に関する実践的な知見を発信し、フォロワー5.4万人を超える影響力を持つアカウントを運営しています。

もともと自身で立ち上げたBowersを株式会社ポロックに事業譲渡し、現在は同社の一員としてサービスを運営。「経営者たるもの」というテーマで、自身の経験や他の経営者から学んだ教訓を日々投稿しています。

ソーシャルセリングの成果

  • Xのフォロワー数5.4万人以上を獲得
  • Bowers登録企業数1,000社以上を達成
  • SNS経由で若手起業家や経営者とのネットワークを拡大
  • 株式会社ポロックとのM&Aにつながる信頼関係を構築

星野氏の事例は、オンラインでの発信活動とオフラインのビジネスを組み合わせることで、より強固なビジネスエコシステムを構築できることを証明しています。

事例3:株式会社Smart相談室 藤田康男氏 – 社会課題への想いを発信して共感を獲得

オンラインカウンセリングサービス「Smart相談室」のCEOである藤田康男氏は、メンタルヘルスという重要な社会課題に取り組む姿勢をSNSで発信し続けています。

医療系事業会社で10年間、事業開発や組織マネジメントを経験する中で、メンタル不調で離職する社員を目の当たりにした原体験から、2021年にSmart相談室を設立。企業の公式アカウントより個人アカウントを活用し、メンタルヘルスに関する啓発や採用に関する考え方など、幅広いテーマで発信しています。

ソーシャルセリングの成果

  • フォロワーが月間500人ペースで増加
  • サービス開始から導入企業250社以上を達成
  • 相談件数8,000件以上を記録
  • 初の著書『社員がメンタル不調になる前に』の出版に至る認知度を獲得
  • 数名のスタートアップから従業員1万人以上の大企業まで幅広い規模の企業との契約を実現

藤田氏の事例は、社会課題への真摯な取り組みと個人の想いを発信することで、サービスへの共感を生み出し、BtoB領域でも強力なブランディング効果を発揮できることを示しています。

3つの事例から学ぶ共通点

これら3つの国内事例に共通するのは、以下のポイントです。

これらの実践者は、ソーシャルセリングを単なる営業手法ではなく、自社の価値観を伝え、顧客との信頼関係を構築するための重要なコミュニケーション手段として活用しています。

ソーシャルセリング成功のためのポイント

実践にあたって、特に押さえておきたい重要ポイントをまとめます。

継続性が成果を生む

ソーシャルセリングは、一夜にして成果が出る魔法のテクニックではありません。定期的な情報発信と見込み客との対話を継続することで、徐々に信頼関係が構築されていきます。

毎日3〜4回の投稿を6ヶ月以上続けることで、効果が実感できるようになります。

測定と改善のサイクルを回す

以下の指標を定期的にチェックし、改善を続けましょう。

  • フォロワー数の推移
  • 投稿のエンゲージメント率(いいね、コメント、シェア数)
  • プロフィール閲覧数
  • DM経由の商談化率
  • ソーシャル経由のリード獲得数

データに基づいて、どのような投稿が反応を得やすいのか、どの時間帯が最適なのかを分析し、戦略を最適化していきます。

チーム全体で取り組む

ソーシャルセリングは、個人の活動として始めることができますが、組織全体で取り組むことで効果が倍増します。営業部門だけでなく、マーケティング部門や経営層も巻き込んで、全社的な取り組みとして推進しましょう。

初心者にもわかるソーシャルセリングの実践方法まとめ

この記事の要点を振り返ってみましょう。

  • ソーシャルセリングは、SNSで価値提供を行い、見込み客との信頼関係を築く営業手法
  • 購買行動の変化やAIの台頭により、人間的なつながりを生むこの手法の重要性は増している
  • 成功の鍵は、プラットフォーム選定、価値ある情報発信、日本文化に合わせた丁寧なコミュニケーション
  • 国内外の成功事例が示すように、適切に実践すれば大きな成果が期待できる

AIが生成した無機質な情報が溢れる時代だからこそ、顧客一人ひとりと人間的な信頼をじっくり育てるという活動が、かつてないほど強力な競争優位性になるのです。

まずはご自身のLinkedInやXのプロフィールが、お客様にとって価値ある情報源に見えるか、見直すことから始めてみませんか?

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執筆者紹介

中元鈴香:BtoB領域に特化したライター。5年以上にわたり、SaaS、IT、人材、コンサル業界のコンテンツ設計とライティングに従事。上場企業のオウンドメディア立ち上げや、中小企業のSEO内製化支援も多数経験。

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