ソーシャルセリング実践に役立つ情報を提供します。

ソーシャルセリング実践例 【化粧品開発者】みついだいすけさん

 

「みついだいすけ」さんって?

 

――今回はTwitterフォロワー10万人超え!の化粧品開発者、みついだいすけさんにお越しいただきました。よろしくお願いします!

 

みついさん:よろしくお願いします。

 

 

――まずはみついさんご自身のことをお聞きしていきたいのですが、みついさんは現在も会社員でいらっしゃると聞いて驚いてしまったんですけれど。

 

みついさん:そうです、普通の会社員です(笑)。今の会社に入社してもう16年経ちますかね。大学院を出て就職した会社でずっと働いてます。

 

――それが化粧品開発の会社なんですか?

 

みついさん:そうですね。ちょっと社名は出せないんですが、化粧品のOEM開発会社で、メイクアップ系では一応最大手です。……て言うと業界の方ならピンと来ちゃうかもしれませんが…(笑)。

 

――笑。OEMということは、他社の製品を開発しているということですよね。それは販売会社さんから「こういう化粧品を作って!」とオーダーが来るんですか?

 

みついさん:そういうケースもありますし、企画を立ててこちら開発した製品を提案することもありますね。僕が所属している部署はどちらかというと後者が多いです。

 

――なるほど、つまりプロダクトアウト型の開発をされていると。

 

みついさん:そうですそうです。自分でリサーチして仮説立てして、新しい商品を作っていく感じで、個人的にはこのスタイルの方が楽しいですね。会社側から「こういう感じのものを開発してね」というテーマは出てくるもののそれ以外に自分で作ってみたいものがあれば勝手に開発をしてても怒られない(笑)。

 

――自由度の高い会社なんですね(笑)。

 

みついさん:そうなんです。だからこんなに長く勤められているんだと思います。

 

――ちなみにみついさんと言えば「日焼け止め」という印象があるのですが、専門分野が日焼け止めなんですか?

 

みついさん:いや、そういうことでもないです。日焼け止めの開発には実際多く関わってきましたが、それ以外にもリップとかアイライナーとかチークとか、要はメイクアップ全般を手掛けています。

 

日焼け止めの印象が強いのは、恐らくTwitterでそのテーマを取り上げることが多いからでしょうね。

 

 

――なるほどなるほど。Twitterの件は後ほど詳しくお聞きするとして、みついさんの幼少期なんかの話も聞きたいなと思うんですけれど。どんなお子さんだったんですか?

 

みついさん:幼少期……うーん、そんなに人付き合いの得意なタイプではなかったですね。一人で遊ぶことが多かったと思います。かといって熱心に本を読んだりするわけでもなく、普通にテレビゲームとかしてました。

 

――へえ、そうなんですか。ちょっと意外です。

 

みついさん:理科の授業は好きでしたけど、かといって「研究者になろう!」みたいな明確な目標があったわけでもないんですよね。そんな感じのまま大学に入って、特にやりたいこともなかったから取り敢えず大学院に進んで…。

 

だから自分の進路を真剣に考えたのって、就職活動のときが初めてなんですよね。

 

――ふむふむ。そこで化粧品開発の道を選んだのは、何か理由があったんですか?

 

みついさん:うーん、「化粧品開発がやりたい!」という強いモチベーションがあったわけではないですね。ただ……

 

――ただ?

 

みついさん:就職活動で2つの会社から内定をいただいて、一社は今の会社、そしてもう一社はいわゆる素材メーカーさんで。会社の規模はそちらの方がずっと大きかったんです。正直、待遇もよかったですし。

 

でも、何となく躊躇する気持ちがありました。一方の化粧品には、妙に惹かれるものがあったんですね。そこで僕、初めて気付いたんです。

 

――何に気付いたんでしょう。

 

みついさん:そうか、自分は「お客さんの声が聞きたい」んだって。素材メーカーの仕事は、もちろんやりがいはあるんでしょうが、自分の開発品がどこで誰がどんな風に使ってくれて、どう感じているかが全く見えてこないんじゃないかと。

 

でも、化粧品は違う。ネットにはエンドユーザーさんの生の声が溢れているし、商品を使ってキレイになったり肌の調子がよくなった人を見ることができる。これは楽しそうだぞ、こっちの仕事がしたい、って思ったんです。

 

 

――なるほど!そしてその予感は当たっていた。

 

みついさん:当たってましたねえ(笑)。15年以上経った今も、まったく飽きてませんから。特にやりたいことがなかった自分にとってたまたま見つかった仕事。運が良かったと思います。

 

――やっぱりそれは「お客さんの声が聞ける」からなんですかね。

 

みついさん:だと思います。さらにラッキーだったのはスマホが普及したことですよね。少し検索すれば膨大な口コミ、つまりお客さんの声が大量に読めるわけで、これが最大のモチベーションになっています。良いことだけじゃなく否定的な意見も見れるのがまた最高なんですよね。

 

――えっ? 否定的な意見も最高なんですか?

 

みついさん:もちろんです。それが次の開発に活かせるわけですからね。そういう意味では、良い意見より否定的な意見の方が開発者を成長させてくれる。こんなにありがたいことはありませんよ。

 

――すごい!根っからの開発者なんですね。

 

 

ソーシャルセリングについて

 

――ではここからはSNSの使い方、ソーシャルセリングについてお聞きしていきたいと思います。現在はTwitterフォロワー10万人超えということなんですが、そもそもTwitterを始めたキッカケは何だったんでしょう。

 

みついさん:まず単純に、情報収集ツールとしてすごく優れていますよね。「お客さんの声が聞ける」のがモチベーションである僕にとって、これを活用しない手はないなと。

 

――なるほど確かに。化粧品に関するツイートも多いでしょうしね。ということは、最初から仕事に活かすつもりで始めたと。

 

みついさん:調査するという視点ではそうですね。あと実はもう一つ理由があって。

 

――もう一つの理由?

 

みついさん:ええ。何というか、自分の人生設計のようなものを考えたときに、そろそろ自分自身をブランド化していくべき、という感覚が生まれ始めていたんですよね。

 

というのも、これだけ長い時間化粧品開発に関わってきて、いわゆるヒット商品もいくつか生み出してきましたし、けっこう頑張ってるって自負があったわけです。ちゃんと実績を残してきたぞという自信というか。

 

 

――そうですよね。15年以上頑張ってこられたわけですもんね。

 

みついさん:でも、冷静になって考えると、世の中の人は私のことを全然知らないんですよね。会社の中で名が知られていたとしても一歩会社の外に出ると「誰?」となってしまう。

 

自分が開発した商品名を言えれば「ああ、あの商品を開発した人なんだね!」となるかもしれませんが、OEM会社なので守秘義務もあり、それも難しい。

 

――そっか! 商品名は言えないですもんね。

 

みついさん:そうなんです。そういう事情もあって、もう少し自分自身を世の中に知ってもらう活動をしたいなと思ったんですよね。そんな時に出会ったのが、田端信太郎さんの本『ブランド人になれ! 』です。

 

――なるほど!「ブランド人になれ!」というメッセージがどストライクだった。

 

みついさん:そうなんです(笑)。その本に会社の名前に依存するな、これからは個人の時代だ」と書かれていて、本当にそうだなと。それで田端さんのオンラインサロン「田端大学」に参加するようになりました。

 

そこで田端さんやサロンメンバーさんといろいろ交流させていただいて、自分のビジネスマンとしてのレベルの低さに愕然としたんですよね。田端さん含め世の中にはこんなすごい人達がいるのかと。もう自分の既成概念がメキメキと変わっていきまして。

 

――メキメキと(笑)。

 

みついさん:いや本当にものの見方が180°変わった感覚というか。田端さんに出会わなかったら今の自分はなかったです。本当に感謝してますね。

 

――なるほど〜。ちなみにそこで得たものの中で最も大きかったものってなんですか?

 

みついさん:そうですね。「ブランディング」と「マーケティング」。この2つを学べたのが大きいと思います。先ほども言った通り僕は本を読む習慣がなかったですし、化学の勉強しかしてこなかった人間なので、田端大学で出された課題図書の本で初めてそういった世界に触れて。「なんて面白いんだ!」と感銘を受けましたね。

 

――Twitterを本格的にやり始めたのもその時期ですか?

 

みついさん:そうです。「ブランド人になれ!」というコンセプトのサロンなので、Twitterのフォロワーが少ないと話にならないというか。「フォロワー1,000人以下の奴なんて◯◯だ」と田端さんも仰っていて(笑)。

 

 

――ああ、その話よく聞きます(笑)。それでアカウント設計をしていったと。

 

みついさん:はい。自分が人生をかけてやってきたことを発信するのがいい、ということで、僕の場合は迷うことなく「化粧品開発」だろうと。それで化粧品の使い方とか豆知識とかをツイートするようにしたんですが、意外と反応をもらえて。

 

――化粧品って興味を持ってる人の母数も多そうですもんね。

 

みついさん:そうなんです。女性にとっては日用品なわけで、すごく身近な話題なんですよね。それでどんどんフォロワーが増えていって。

 

――ちなみにどれくらいのペースで増えたんですか?

 

みついさん:最初は300人くらいだったのが、半年で1万人、一年で3万人くらいまでいきましたかね。

 

――1年で3万人!? すごい!

 

みついさん:結局2年半で10万人を超えるところまでいきました。もちろんここまでこれたのも田端大学で学んだマーケティングやブランディングの考え方のおかげなんですよね。ほんとうにめちゃくちゃ分析しました。おかげさまでこの経験が現在やっているTwitterコンサルの基盤になっていますね。

 

――ちなみに、言える範囲で、「フォロワーの増やし方のコツ」を教えてもらえませんか?

 

みついさん:そうですね。いろいろあるんですけど、まず重要なのは「読み手の立場になって考えること」ですね。よく言われていることですけど、自分が発信したいことじゃなく、相手が知りたいことを発信していく。

 

Twitterを「困っている人を助ける場所」だと考えるとわかりやすいかもしれません。

 

――困っている人を助ける場所?

 

みついさん:そうです。例えば僕の場合なら、「ファンデーションが崩れちゃう」とか「アイライナーがうまく引けない」とか、化粧品に関することで困っている人に、「こんな風にするとうまくいきますよ」という情報を届けるわけです。つまり、困っている人を助けるツイートをするわけです。

 

これが「〇〇という成分はファンデーションが崩れにくくなる成分です」だとただ自分が知っている情報を置きにいってるだけなんですよね。こういう文章では読み手に伝わらないわけです。

 

――なるほど!

 

みついさん:ここを意識してツイートすれば、「この人のツイートは有益だな、信頼できるな」となって、自然とフォロワーになってくれます。

 

あともう一つ重要なのが、「感情を動かすこと」ですね。読んでいる人の感情を動かすことを意識する。これ、個人的にお手本にしてるのは、お笑い芸人さんなんですよ。

 

 

――えっ、お笑い芸人!?

 

みついさん:ええ。彼らは見ている人に「楽しい」「おもしろい」あるいは「それわかるなあ」というように人の気持ちを動かす仕事じゃないですか。これある意味でTwitterと同じなんですよ。

 

――確かに、「楽しい」「おもしろい」「あるある」って感じるツイートができれば、フォロワーさんは増えそうです。

 

みついさん:そうなんです。だから芸人さんのテクニックを研究するとおもしろいですよ。島田紳助さんが若手に「どう売れるか」を授業しているYoutubeの動画があるんですが、あれはすごく参考になります。

 

――へええ。おもしろいですね。ちなみに10万人もフォロワーがいると、仕事の依頼もバンバン来たりするんですか?

 

みついさん:そうですね、おかげさまでいろんなご依頼をいただきます。雑誌やWebメディアの取材とか、ラジオ出演とか、あとは書籍出版とか共同開発のお話とか。それからいわゆるPR案件。この化粧品を宣伝してくださいとか。

 

でも僕、前提としてOEM企業の会社員なんで、商品の宣伝になるものはほとんど受けられないんですよね(笑)。化粧品にまつわるPR案件は全部ダメです。

 

――あ! そっか、受けられないんだ。

 

みついさん:もちろん、化粧品の仕事であっても商品名が出てこないものであれば雑誌の取材や講演などお受けしているものもたくさんありますね。

 

あと、会社の業務に影響ないものは大丈夫なので、ちょこちょこお受けさせていただいてます。このインタビューもそうですし、あとはYouTuberさんとのコラボとか、Twitterコンサルも結構やらせていただいていますね。

 

――お受けいただけてよかったです! でも、こんなことを聞いていいのかわからないですが、そういう制約を受けてもなお会社員でいる理由はなんなんでしょう? 正直、独立されてもやっていけそうに思うのですが。

 

みついさん:まあ、そういうことを全く考えたことがないと言えば嘘になりますが(笑)、でも今のところ独立しようとまでは思っていないですね

 

やっぱり僕はあくまで「化粧品開発者」を基盤とした発信者なんですよね。開発の現場を離れてしまうと、開発者としての勘が失われちゃう気がするんです。

 

それとTwitterのフォロワーさんから直接いただく生の声や、マーケティング感覚は会社の業務にすごく活きていますし。

 

 

――なるほど。あくまで化粧品開発者がアイデンティティであると。

 

みついさん:ですね。ちょっと綺麗ごとに聞こえてしまうかもしれませんが、皆さんにもっともっと化粧品を好きになってもらいたい、もっともっと喜んでもらいたい、っていうのが根幹にあるんです。

 

だから会社では開発に関わりながら、Twitterでは化粧品で困っている人を助ける活動をする。両方やることでどちらにも相乗効果があるというか。

 

それでいつか「化粧品の専門家といえばみついだいすけ」というような存在になれたらなと思ってます。

 

お金がいくら儲かるかに重点をおくのではなく、どれだけたくさんの人に価値を提供して喜んでもらえるか。そこを突き詰めることこそが、田端さんの言う「ブランド人」への道だと思っています。

 

――素晴らしいですね!本日は素敵な話をありがとうございました!

 

みついさん:こちらこそありがとうございました!

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