著者:柳澤大介(株式会社マイノリティ代表取締役) キーエンス子会社・メルペイ・スマートニュースを経て、2021年2月にBtoB営業・マーケティングコンサルティング会社を創業。現在は大手〜中小企業の営業DX支援に携わりながら、Claude等の生成AIを日常的な業務に統合活用している。
目次
「売れる営業スクリプトは、できる営業の頭の中にしかない」——多くの組織が抱えるこの属人化の壁も、AIを活用すれば一気に超えられます。
本記事では、年商数億〜数十億企業への営業支援を行う株式会社マイノリティの実践知をもとに、テレアポ・営業メール・対面トークなど“どんな営業スクリプトにも再利用できる型”を、4ステップのワークフローとして解説します。コピペで使えるプロンプトも全文掲載しているので、読み終えたその日から手を動かせます。
| 💡 はじめての方へ|この記事の前提 本記事では一例として Claude(クロード) AIを使いますが、ChatGPT や Gemini など、資料を読み込ませて指示を出せるAIであれば、同じやり方で実践できます。むずかしそうに見えても、やることは「① AIに会社の資料を渡す → ② お願いの文章(プロンプト)を送る → ③ 出てきた下書きを人がチェックして直す」の3つだけ。専門用語には本文の途中で小さな補足を付けているので、AI初心者の方もそのまま読み進められます。 |
| 📝 用語メモ・プロンプト:AIへの「指示文」のこと。「◯◯について、△△を作ってください」のように、AIにお願いする文章を指します。 |
質の高い営業スクリプトは、多くの場合「売れる人の頭の中」にしか存在しません。この“ノウハウの属人化”が、次の3つのボトルネックを生みます。生成AIの価値は、この3つを同時に外せる点にあります。
| ボトルネック | 従来の問題 | 生成AIでどう解くか |
|---|---|---|
| ① 属人性 | できる営業の経験と勘に依存し、言語化・標準化されない | 型と素材を渡せば、誰が回しても同じ構造のスクリプトが出る |
| ② 工数 | 1本作るのに時間がかかり、セグメント別・案件別に量産できない | 構成・セリフ・切り返しを一度に生成。2本目以降は数分で作成できる |
| ③ 横展開できない | 新しいウェビナーや商材ごとにゼロから作り直し | 素材を差し替えるだけで同じ型を流用できる |
| 💡 結論 ここで重要なのは、「AIにスクリプトを丸投げする」のではないということです。「自社の素材+営業の型」をAIに渡して組み立てさせるのが基本です。 ・速く・安定して書く実務担当=AI・判断と最終チェック=人間 ——この役割分担が、もっとも再現性の高い使い方になります。 |
ここまで見てきたボトルネックの解消は、現場目線では次の3つのメリットとして表れます。
トップ営業の言い回しやクロージングの組み立てを「型」として固定し、その型に素材を流し込めば、経験の浅いメンバーが回しても同じ構造・同じ品質のスクリプトが出力されます。属人化していたノウハウが、チームの共有資産になります。
ゼロから人力で書けば1本あたり数時間かかるところを、構成・セリフ・切り返しまで一度に生成できます。一度「型」を作ってしまえば、2本目以降は対象や商材を差し替えるだけで数分。商談数や施策の数だけスクリプトを増やせます。
同じ訴求でも、相手の業種・役職・検討段階によって響く言葉は変わります。生成AIなら「IT部門の情シス向け」「価格に迷っている相手向け」のように、対象を指定するだけでトーンや切り口を出し分けられます。一人ひとりに合わせた会話設計が低コストで実現でき、結果として相手の体験価値と満足度を底上げできます。
作業は次の4ステップに分かれます。STEP1だけが「一度きりのセットアップ」で、2本目以降はSTEP2〜4を回すだけです。
| STEP | やること | ポイント |
|---|---|---|
| STEP1:セットアップ | 素材を読み込ませる | ウェビナー資料・既存台本などをフォルダ/プロジェクトに入れる。最初の1回だけ。 |
| STEP2:生成 | 1ショットで生成※1ショットで生成とは作業を細かく分けず、1回の指示でまとめて作ってしまうこと。やり取りを何度も往復しないぶん、速く・安定して仕上がります。(詳細は後述) | 役割を含む「6要素(後述)」を入れたプロンプトを1回投げ、骨格〜セリフまで一気に出す。 |
| STEP3:磨き込み | レビューと追い込み | 事実・トーンを点検し、切り返し追加や業種別の言い換えで仕上げる。 |
| STEP4:横展開 | セグメント/チャネル替え | 対象・チャネル・商材を差し替えて、同じ型で量産する。 |
| ⏱ 所要時間の目安(弊社の実測値)ゼロから人力で書くと1本あたり数時間。本手順なら、初回セットアップが約30分、1本あたり5〜10分です。対象だけを変える場合は1〜2分で済みます。(弊社の実測値) |
最初にやるのは、AIに「何を・誰に・どこへ向けて売るのか」の材料を渡すことです。弊社の実際のテレアポ台本づくりでも、ウェビナーのPDFと既存の詳細トークスクリプトをフォルダに置き、「フォルダの資料を参照して」と指示するところから始めました。
なお、社内資料や過去の成約データを読み込ませて作業する前提なので、ツールは自社の情報を安全に扱える環境(入力データを学習に使わないプラン・社外に出ない閉じた環境など)を選ぶと安心です。使うAIは、Claudeのほか、ChatGPTやGeminiなど、資料を読み込ませて指示できるものであれば構いません。
| 💡 はじめての方へ|AIに資料を渡す手順(Claudeの例) 1. AIツール(例:Claude)を開きます。 2. 「プロジェクト」や「フォルダ」と呼ばれる、資料をまとめて置いておける場所を作ります(チャット画面にファイルを直接添付するだけでもかまいません)。 3. そこへ、ウェビナー資料や過去の台本などのファイル(PDF・Word・テキストなど)をアップロードします。 4. あとは入力欄に「フォルダの資料を参照して、◯◯を作って」とお願いの文章を打つだけです。ChatGPTやGeminiでも、ファイルを添付して同じように指示すれば実践できます。 |
| 📝 用語メモ:プロジェクト/フォルダAIツール上で、関連する資料をひとまとめに保存しておける機能のこと。一度入れておけば、毎回ファイルを貼り直さなくてもAIが参照してくれます。 |
| 素材 | 具体例 | AIにとっての役割 |
|---|---|---|
| ① 元コンテンツ | ウェビナー資料・録画の文字起こし・サービス紹介PDF・LP(ランディングページ)※ LP(ランディングページ)とは主に広告や検索結果からユーザーが最初にアクセスする(着陸する)Webページのこと | 何を売るか/訴求の事実根拠 |
| ② 既存トーク | 過去の台本・成約した営業メール・FAQ | 言い回しとトーンの見本 |
| ③ ターゲット定義 | 対象セグメント(例:アンケートで「サービス興味あり」と回答した人) | 誰に話すか |
| ④ ゴール定義 | 具体的なCTA(到達点)(例:30分無料個別相談のアポ獲得)※ CTAとは「商品の購入」「お問い合わせ」「資料請求」「会員登録」など具体的なアクションを促すためのボタンやテキストリンクを指します。 | どこへ誘導するか |
| ⑤ トーン見本・NG | 望ましい温度感、避けたい誇大表現・NGワード | 文体・印象の統一 |
| 💡 コツ:一度入れたら貼り直さない①②⑤のような“変わらない素材”は、フォルダ/プロジェクトに常設しておきましょう。毎回プロンプトに貼り付ける必要がなくなります。毎回変わるのは③ターゲットと④ゴールだけ。ここを差し替えるのが、後述する横展開(STEP4)の本体です。 |
工程を細かく分けず、1回の指示で骨格からセリフまで出し切るのが、速くて安定します。そのために、指示文へ必ず次の6要素を入れます。
| 📝 用語メモ・「1ショットで生成」:作業を細かく分けず、1回の指示でまとめて作ってしまうこと。やり取りを何度も往復しないぶん、速く・安定して仕上がります。 |
| 要素 | 意味 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| ① 役割 | AIに専門家の立場を与える | 「あなたはテレアポのプロです」 |
| ② 前提・対象 | 誰に向けたものか | 「ウェビナー参加者で“個別相談に興味あり”と回答した方向け」 |
| ③ 素材参照 | 事実の根拠を指定 | 「フォルダの資料を参照して」 |
| ④ ゴール | CTA(到達点)を明示※ CTAとは「商品の購入」「お問い合わせ」「資料請求」「会員登録」など具体的なアクションを促すためのボタンやテキストリンクを指します。 | 「30分無料個別相談のアポ獲得がゴール」 |
| ⑤ 構成 | 出力の骨格を固定(詳細は後述) | 「心構え→本編→切り返し→チェックリストの順で」(詳細は後述) |
| ⑥ トーン・形式 | 文体と分量を指定 | 「売り込まず寄り添う口調で、1枚で読み切れるシンプル版」 |
なお、対象やゴールの情報が固まりきっていないときは、「不足している点があれば、書き出す前に質問してください」と一文添えるのがおすすめです。AIに逆質問させることで、思い込みのまま的外れな出力をするのを防げます。
| 📋 コピペ用テンプレート(完全版は後述のテンプレB) 【役割】あなたは法人営業/テレアポのプロです。 【対象】◯◯(例:ウェビナー参加者で△△に興味ありと回答した方) 【素材参照】◯◯フォルダの資料を参照して。 【ゴール】◯◯(例:30分無料個別相談のアポ獲得) 【構成】「①心構え ②知識整理 ③本編(STEP別・セリフ+意図) ④切り返し集 ⑤架電前チェックリスト ⑥結果記録フォーム」の順。【トーン・形式】トーンは売り込まず相手に寄り添う口調で。まず1枚のシンプル版で営業スクリプトを作成してください。 |
前段の⑤ 構成を更に詳しく解説します。
毎回以下の6ブロックで出力させると、品質が安定し、後から見直しや修正もしやすくなります。これは弊社で実際に作成したテレアポ台本の構成を、そのまま標準形にしたものです。ぜひご活用ください。
| # | ブロック | 中身 |
|---|---|---|
| 1 | 架電前の心構え(心構え) | 対象・ゴール・最重要マインドセット(例:売り込みではなく“お礼+お役立ち相談の案内”) |
| 2 | 知識整理(事実整理) | 商材・登壇者・特典・価格など“事実”の整理(ハルシネーション防止の土台)※ ハルシネーションとはAIが、事実ではないことをもっともらしく作ってしまう現象のこと。 |
| 3 | 本編 | STEP別に時間配分+【営業】【相手】のセリフ+POINT(意図) |
| 4 | 切り返しトーク集(反論処理) | 想定される断り文句ごとの応答(例:忙しい/まだ早い/売り込み懸念/資料だけ) |
| 5 | 架電前チェックリスト | 相手情報・候補日時・送付資料など、事前準備の確認項目 |
| 6 | 結果記録フォーマット(記録) | 架電結果・反応・課題タイプ・次アクションを残す表 |
| 💡 なぜこの6ブロックが“汎用”なのか?電話以外でも「心構え → 事実整理 → 本編 → 反論処理 → 準備 → 記録」という骨格は変わりません。 本編の中身を、メールなら“件名+本文の流れ”、対面なら“アイスブレイク〜クロージング”に置き換えるだけで、同じ型がそのまま使えます。複雑な商談フローは、AIに「この本編の流れを図(フローチャート)でも出して」と頼めば、チーム共有用に構造を可視化することもできます。 |
| 📝 用語メモ:ハルシネーションAIが、事実ではないことを“それらしく”もっともらしく作ってしまう現象のこと。人名・価格・実績などの「事実」は、AIの出力をうのみにせず、必ず元の資料と照らし合わせて確認しましょう。 |
1ショットで出た下書きは“7割の完成度”と考え、必ず自分の目で点検してから仕上げます。
| 📋 磨き込み・派生のプロンプト例(完全版は後述テンプレC) ・「切り返しを5パターンに増やして。特に“費用はいくら?”への応答を厚めに」 ・「同じ内容を、士業/製造業/SaaS向けに言い換えて」 ・「これを“1枚で読み切れるシンプル版”と“研修用の詳細版”の2種に分けて」 ・「配布用にWord(.docx)でまとめて」 【実例】実際のテレアポ台本でも、最初に詳細版を作ったあと「シンプル版にして」「サービスそのものに興味がある人向けにもう1本」という追い込み指示で、用途別・セグメント別に派生させました。これがSTEP3→STEP4への自然な流れです。 |
前段までの内容でもある程度のレベルにはなりますが、“売れる構造”にするには、さらに次のセオリーを指示に明記します。実際の台本でも、これらが効いて実用レベルになりました。完成までもう少しです。
| 営業セオリー | プロンプトでの指定例 |
|---|---|
| 感想ヒアリングで話させる | 「冒頭は売り込まず、相手に話させる質問から入る構成に」 |
| 課題のタイプ分け | 「相手の悩みを3タイプに整理し、本人に“どれに近いか”選ばせる流れに」 |
| 希少性の訴求 | 「“先着◯名限定”“通常は有料”などの希少性を一節入れる」 |
| 権威・実績で裏づけ | 「登壇者の実績(経歴・出身)で相談の価値を高める一文を」 |
| 2択クロージング | 「日程は必ず2択で提示。“ご都合のいい日は?”とは聞かせない」 |
| 反論処理の網羅 | 「想定される断り文句を5つ挙げ、それぞれ切り返しを用意」 |
| 再アプローチの確保 | 「断られても“また改めます”で終わらせず、次回日時を2択で確定させる」 |
ここまでの作業お疲れ様でした。前段にて実用レベルの営業スクリプトの型が完成しました。Claudeのプロジェクトを使って型ができたら、今後はプロンプトを差し替えるだけで本数を増やせます。横展開には3方向あります。
| 方向 | やること | プロンプト例 |
|---|---|---|
| セグメント替え | 同じ商材で対象だけ変える | 「対象を“サービスそのものに興味あり”の人に変えてもう1本」 |
| チャネル替え | 台本→メール/DM/SMS/対面へ | 「同じ訴求でメール版に。件名3案+本文で」 |
| 案件替え | 別ウェビナー・別商材へ | 素材を差し替え、同じ6要素プロンプトを再利用※ 6要素:①役割 ②前提・対象 ③素材参照 ④ゴール ⑤構成 ⑥トーン・形式 |
| 💡 ポイントSTEP1で“変わらない素材”を常設し、STEP4で“変わる部分(対象・ゴール・チャネル)”だけを動かす。この切り分けができていると、量産のたびに考え直す必要がなくなります。 |
ここでは、実際の営業現場で頻出する4つのシーンを取り上げ、それぞれの目的と具体的なプロンプト例を解説します。
なお以下プロンプトは【STEP2】にて前述した”1ショットで生成するプロンプトの「型」”のため実用レベルにするために【STEP3】での磨き込みもお忘れなく。
まったく接点のない企業に対し、サービスの興味喚起とアポイント獲得を目指すシーンです。警戒心をいかに早く解き、「なぜ自社に電話してきたのか」を納得させるかが鍵になります。
| 【役割】あなたはBtoBの新規開拓を得意とするトップセールスです。 【前提・対象】過去に接点がない、IT業界の営業部長。 【素材参照】フォルダ内の「サービス紹介資料_新規向け」を参照。 【ゴール】30分のオンライン情報交換(アポ)の獲得。 【構成】①架電前の心構え ②受付突破トーク ③担当者接続時の挨拶と電話の理由(仮説の提示) ④ヒアリング ⑤クロージング(2択) ⑥切り返しトーク集 【トーン・形式】押し売り感を出さず、情報提供ベースの丁寧な口調。 |
ウェビナー(オンラインセミナー)に参加したものの、まだ個別相談に申し込んでいない見込み客へのアプローチです。ウェビナーの熱量が冷めないうちのフォローが重要です。
| 【役割】あなたはインサイドセールスのプロフェッショナルです。 【前提・対象】先日の「AI営業効率化ウェビナー」に参加したが、個別相談は未申込の企業の課長。 【素材参照】フォルダ内の「ウェビナー投影資料」「アンケート結果」を参照。 【ゴール】無料個別相談(45分)の獲得。 【構成】①架電前の心構え ②ウェビナーのお礼と感想ヒアリング ③課題の3タイプ提示と深掘り ④個別相談の提案とメリット(希少性・権威性) ⑤クロージング ⑥切り返しトーク集 【トーン・形式】アドバイザーとして寄り添う、伴走型の口調。 |
すでに取引のある顧客に対し、上位プランや別商材を提案するシーンです。現在の利用状況をベースにした論理的な提案が求められます。
| 【役割】あなたは既存顧客のサクセスとアップセルを担うカスタマーサクセス担当です。 【前提・対象】現在「ベーシックプラン」を半年以上契約中で、活用頻度が高い企業の担当者。 【素材参照】フォルダ内の「プレミアムプラン新機能資料」を参照。 【ゴール】プレミアムプランへのアップグレード提案のための商談獲得。 【構成】①架電前の心構え ②日頃の感謝と現状の活用状況ヒアリング ③現状の課題やもっと良くしたい点の確認 ④新プランの案内(課題解決の手段として) ⑤クロージング ⑥切り返し(予算感・時期など) 【トーン・形式】パートナーとしての親しみやすさと、プロとしての提案力を両立した口調。 |
過去に失注した、あるいはしばらく連絡を取っていない顧客への再アプローチです。電話だけでなく、事前にメールを送ってから架電する際にも応用できます。
| 【役割】あなたは休眠顧客の掘り起こしを得意とする営業担当です。 【前提・対象】1年前に商談したが、予算の都合で失注した製造業の企業の担当者。 【素材参照】フォルダ内の「最新導入事例集(製造業向け)」を参照。 【ゴール】最新事例の紹介をフックにした、15分の気軽なオンライン面談の獲得。 【構成】①架電前の心構え ②ご無沙汰しておりますの挨拶 ③連絡の理由(似た業界での成功事例ができたため共有したい) ④現状の変化のヒアリング ⑤ハードルを下げるクロージング(「情報収集としていかがですか?」) ⑥切り返しトーク集 【トーン・形式】売り込みを極力排除し、情報提供に徹した丁寧な口調。 |
同じ「テレアポ台本を作る」でも、指示の作り込み次第で出力はまるで変わります。
| 「テレアポの台本を作って」 |
役割・対象・ゴール・素材がないため、誰にでも当てはまる一般論の台本しか出ません。固有名詞も訴求の根拠もなく、現場では使えません。
※ 6要素:①役割 ②前提・対象 ③素材参照 ④ゴール ⑤構成 ⑥トーン・形式
| 「あなたはテレアポのプロです。フォルダの資料を参照して、集客の個別相談に関心のある方に向けた、シンプルなテレアポのトークスクリプトを作成してください」 |
初めは多少面倒かもしれませんが、慣れれば難しくないのでご安心ください。
AIは便利ですが、使い方を誤ると現場で使えない下書きになりがちです。とくに次の5つは、知っておくだけで防げます。
| 落とし穴 | 何が起きるか | 回避策 |
|---|---|---|
| 固有名詞のハルシネーション※ ハルシネーションとはAIが、事実ではないことを“それらしく”もっともらしく作ってしまう現象のこと。 | 登壇者名・実績・価格・特典条件などを、AIが“それらしく”作ってしまう | 事実は必ず素材に入れ、生成後に素材と1対1で照合する |
| 素材の入れすぎ | 焦点がぼけ、訴求が散漫になる | 核となる資料+トーン見本に絞る |
| 丸投げ(前提なし) | 一般論しか出ない | 6要素(特に対象・ゴール)を必ず明示する※ 6要素:①役割 ②前提・対象 ③素材参照 ④ゴール ⑤構成 ⑥トーン・形式 |
| ノーチェック | 誤情報や自社らしくない表現が現場に出る | そのまま使わず、STEP3の4観点を一読してから配布※ STEP3の4観点:事実の正確性・トーンの一致・フォーマット遵守・切り返しの網羅 |
| トーンのズレ | 売り込みすぎ・他社っぽい言い回しになる | 望ましいトーンの見本文を素材に含める |
実作業では、この3本をコピーして◯◯部分を埋めて使ってください。
今日から始める3アクション
1.素材を入れる:案件のフォルダに「元コンテンツ・既存トーク・トーン見本」を入れ、[テンプレA]で読み込ませる。
2.1本生成する:6要素の入った[テンプレB]で1ショット生成をする。
3.磨き込み、横展開する:[テンプレC]で磨き込み、実用レベルにする。そしてセグメント替え・チャネル替えを行い横展開する。
| このプロジェクト(フォルダ)には、当社の営業活動の素材を入れています。以降の依頼では、ここにある資料を“事実の根拠”として必ず参照してください。 ・元コンテンツ:◯◯(ウェビナー資料/サービス紹介など) ・既存トーク:◯◯(過去の台本・成約メール)=言い回しとトーンの見本 ・トーン方針:◯◯な口調。NGワード:◯◯勝手な固有名詞・実績・価格の創作は禁止。不明点は推測せず質問してください。 |
| 【役割】あなたは法人営業/テレアポのプロです。 【前提・対象】◯◯【素材参照】フォルダの資料を参照して。 【ゴール】◯◯(具体的なCTA)に向けた営業スクリプトを作成してください。 【構成】(この順で固定)① 架電前の心構え(対象・ゴール・最重要マインドセット)② 知識整理(商材・登壇者・特典などの事実)③ 本編(STEP別の時間配分+【営業】【相手】セリフ+POINT)④ 切り返しトーク集(想定の断り5つ+応答)⑤ 架電前チェックリスト⑥ 結果記録フォーマット 【トーン・形式】売り込まず寄り添う口調。まずは1枚で読み切れるシンプル版で。 【その他】営業セオリー:冒頭は相手に話させる/悩みを3タイプに整理し選ばせる/希少性と登壇者の実績で価値づけ/日程は必ず2択でクロージング。 |
| ・「切り返しを5パターンに増やして。特に◯◯への応答を厚く」 ・「対象を◯◯に変えてもう1本」 ・「同じ訴求でメール版に。件名3案+本文で」 ・「士業/製造業/SaaS向けに言い換えて」 ・「シンプル版と研修用の詳細版の2種に分けて、配布用にWord(.docx)で」 |
1ショットで出力された下書きは“7割の完成度”と考えてください。構成やセリフの叩き台としては十分実用的ですが、登壇者名・価格・実績・特典条件といった「事実」は、AIがそれらしく創作(ハルシネーション)することがあります。これらは必ず素材と1対1で照合し、人間が最終チェックする——この前提さえ守れば、現場でそのまま使えるレベルになります。
むしろ経験の浅い方ほど効果が大きい手法です。「型(6要素:①役割 ②前提・対象 ③素材参照 ④ゴール ⑤構成 ⑥トーン・形式)」を指示すれば、誰が回しても同じ構造のスクリプトが出力されるため、ベテランの勘や言い回しを“型”として再現できます。重要なのは凝ったプロンプトを書くことではなく、対象とゴールを明確にし、事実をきちんと素材として渡すことです。前述のコピペ用プロンプト集をそのまま使えば、初めてでも迷いません。
扱う情報の性質に応じて、入力データを学習に利用しないプランや、社外に出ない閉じたプロジェクト環境を選ぶのが基本です。あわせて、入力してよい情報の範囲・NGワード・取り扱いルールを社内であらかじめ決めておくと安心です。顧客の個人情報や未公開の数値など、機微な情報をそのまま貼り付けない運用ルールを定めておきましょう。
「役割・素材・構成・ゴール」を指定できるツールであれば、特定のサービスに限定されません。ポイントは、自社の資料を“事実の根拠”として読み込ませられること、そして前段のセキュリティ要件を満たせることです。社内資料を継続的に参照させたい場合は、フォルダやプロジェクト単位で素材を常設できる環境だと、STEP1のセットアップが一度で済みます。
生成AIで営業スクリプトを作るコツは、ひとことで言えば「自社の素材+営業の型をAIに渡し、6要素で出させ、人間が事実とトーンを最終チェックする」。
これさえ守れば、テレアポでもメールでも、別商材でも、同じ手順で“売れるスクリプト”を量産できます。
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この記事を書いたひと
株式会社マイノリティ 代表取締役
柳澤 大介
キーエンス初のインターネット事業「イプロス」では、4.3万社が参画する製造業向けプラットフォームの成長を牽引。メルペイで100名規模の営業組織を構築し、国内182万ヶ所の加盟店を開拓。スマートニュースで営業企画責任者を経て、2021年に株式会社マイノリティを創業。B2Bビジネスのマネタイズとグロースが専門。埼玉大学で「イノベーションとマーケティング講座」の講師。
■ 経歴
株式会社マイノリティ 代表取締役(2021/2〜現在)
https://minority.works/
株式会社ブランドファーマーズ・インク 代表取締役(2025/11〜現在)
https://brand-farmers.jp/
社長ラジオ株式会社 代表取締役(2026/4〜現在)
https://shachoradio.com/
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