ソーシャルセリング実践に役立つ情報を提供します。

【徹底解説】日本でもソーシャルセリングが注目されている背景

日本でも徐々に注目され始めており、米国の法人営業では既に主流となっているソーシャルセリング。

なぜソーシャルセリングは注目されているのでしょうか。

「SNSでフォロワーが多いと有利だから、SNSを伸ばしていこう!」という単純な話ではなく、現在の顧客の購入プロセスの動向からソーシャルセリングの必要性が注目されているのです。

ソーシャルセリングについては、以下の記事で詳しく解説しております。

【初心者にもわかる】ソーシャルセリングとは?実践方法や導入効果を解説

本記事では、ソーシャルセリングが注目されている背景を、BtoBビジネスにおける顧客の購買行動の変化と市場の流れを元に解説します。

 

複雑に進化するBtoB企業の購買プロセス

「多くの競合の中から、どのように自社製品を選んでもらうのか?」については、以下の記事で詳しく解説しています。

【徹底比較】ソーシャルセリングの成果を最大化させる運用・分析ツール6選

“企業の購買プロセスにおける約60%はインターネット上での調査で完了している”という調査結果が出ていますので、今回は具体的に買い手の購買行動がどのように変化しているのかを解説します。

インターネットを通じて誰でも簡単に質の高い情報が入手できるようになったことで、買い手が独自に情報を収集することが従来に比べて容易になりました。

その結果、見込み客は営業からの情報のみで購買の判断をすることが少なくなり、自らインターネットで情報収集して世の中に存在するあらゆる類似サービスを比較対象としてベストな選択は何か”を考えられるようになりました。

これまでは売り手と買い手に情報の非対称があったので、買い手は売り手の情報を信じて購入することが主流でした。

例えば製造業のように歴史のある業界で、ルートセールスが価値を発揮していた理由はここにあります。

インターネットが普及した今では情報の非対称性は少なくなり、営業からの情報が見込み客の購買の意思決定に与える影響は低下しています。

BtoB企業の購買行動の変化については、世界的に有名なIT分野を中心に調査を行うGartner社も調査レポートをまとめています。

 

Gartner社の調査によると、BtoBの購買プロセスにおいて買い手が購入を検討している時、全体の僅か17%しか候補となる売り手との面談に時間を費やしていないことがわかりました。

買い手が複数の売り手を比較検討している場合、1社の営業と接する時間は5%程度でしかありません。

この調査を行ったGartner社のアドバイザリー部門 VP Brent Adamson氏は以下のように述べています。

「今の時代は売るのが難しくなったのと同じくらい、買うのも難しくなっています。BtoBビジネスの販売における最大の課題は売ることではなく、お客様が買うことに苦労していることです。」

世の中には良い商品が沢山ありますが、同じくらい似た商品が多いのも事実です。

大企業が商品の購入を検討する場合、プロジェクトには6〜10人が関わると言われており、それぞれの関係者が集めた情報を共有して進めていく必要があります。

 

 

Gartner社の調査によると、更にここから6点のポイントを解消して初めて購買に繋がると言われております。

 

①問題の特定
“何とかしなければならない社内の問題を見つける”

②ソリューションの探索
“我々の問題を解決するためには、どのような解決策があるのか?”

③要求の整理
“私たちは何を実現するためにサービスを購入する必要があるのか?”

④サプライヤー選定
“このサプライヤーは私たちが望むことを叶えてくれるのか?”

⑤他社比較
“正しいサプライヤーだと思っているが、確かめる必要がある”

⑥社内合意形成
“意思決定に関わる全員を味方につける必要がある”

 

 

6つのポイントを満たし、難解な社内調整を行いながら承認プロセスを進めていく必要があります。

大企業ではこのプロセスを何度もループしながらやり直しをしていくと言われています。

実際Gartner社が調査した顧客の3/4以上が、BtoB商品の購入は非常に複雑または困難であると回答しています。

複雑な購買プロセスのため、プロジェクトの推進者が購入を検討している商品に深い知識を持って社内で説明する必要があります。

 

 

BtoBビジネスでは、商品以外の役に立つ情報を提供してくれる売り手から商品を購入する確率は2.8倍、大きな取引についても結果として満足して購入する確率が3倍も高くなることがわかっています。

 

Gartner社の調査まとめ

◆買い手はインターネットで容易に情報を得られるようになった為、複数の業者を比較検討しやすくなった

◆BtoBのプロジェクト推進者は、商品情報だけでなく社内に説明するための多くの補足情報を集める必要がある

◆1社あたりの商談時間は十分取られていないのが実情で、情報収集の効率は向上しているものの意思決定は難解になっている

◆売り手は買い手に対してインターネットを使って有益な情報を提供していく必要がある

個人情報の規制がインターネット広告に与える影響

では、実際にインターネットを使って見込み客と接点を持ち、有益な情報を提供するために近年ではどのような方法が主流なのでしょうか。

それはインターネット広告です。

インターネットの利用が当たり前になったこともあり、インターネット上に広告掲載すれば容易に見込み客にリーチ出来るようになりました。

 

 

電通の調査によると、日本の市場では2020年にインターネット広告がマス4媒体(テレビ、新聞、ラジオ、雑誌)を抜くほどにまで成長していることがわかります。 

 

 

このインターネット広告業界を牽引してきたのがGAFAの一角のGoogleとFacebook(現Meta社)です。

この2社は圧倒的な市場シェアを持っており、現代のビジネスはこのプラットフォームに依存する形でビジネスが成り立つようになってしまいました。

特にGoogleは、世界の検索エンジン市場シェアで91.88%と圧倒的です。※2022年6月時点

多くの企業がGoogleに広告出稿することで、デジタルのチャネルで見込み客にリーチしています。

ネット広告二強時代の転機〜プラットフォーマー依存のリスク〜

ネット広告の歴史は、GoogleとFacebook(現Meta社)の二強が続いてきましたが、遂にこの市場にも変化の兆しが出てきました。

Googleの持ち株会社である米アルファベットが発表した2022年4~6月期の決算は、売上高が前年同期比13%増の696億8,500万ドル(約9兆5,400億円)、純利益が同14%減の160億200万ドル(約2兆1,900億円)、全体の8割を占めるネット広告事業の売上高は、前年同期比12%増の562億8,800万ドル(約7兆7,100億円)でした。

このうち、YouTubeの広告売上高は同5%増の73億4,000万ドル(約1兆48億円)となり、伸び率は過去最低を記録。

Meta社の4〜6月期の売上高は前年同期より1%少ない288億2,200万ドル(約3兆9,000億円)にとどまり、2012年の上場以来初となる減収になりました。

この背景には、不況による広告主側の予算縮小もありますが、もう一つの大きな理由としてプライバシー保護規制が強められ個人情報が利用しづらくなり広告配信の精度が下がったことが原因であると推察されています。

広告配信の精度が下がった結果、費用対効果が合わなくなった企業が広告費を縮小する傾向が出てきている様子です。

プラットフォーマーに依存した販売戦略はプラットフォームに変化が起きると自社のビジネスにも大きな影響を受けるため、このリスクに対してどう対策するのかが非常に重要になってきているのです。

SNSで営業が見込み客と繋がる、新しい営業手法

このような市場の変化もあり、最近ではインターネット広告に依存しないやり方で見込み客と接点を持つ事ができる「ソーシャルセリング」が注目を浴びているのです。

SNSは見込み客と繋がることが出来れば、お互いの繋がりを制限されることはありません。

ここが、インターネット広告と大きく異なる点。

相互フォローとなった後は、見込み客が興味のある情報を継続して発信することで信頼関係は深まっていきます。

そして、見込み客が本格的に商品購入の検討を始めた時には、圧倒的に他社との差をつけた状態で商談を開始出来るでしょう。

 

ソーシャルセリングが注目されている背景まとめ

以下が本記事のまとめです。

◆BtoB企業の購買プロセスは変化しており、WEB上で継続して接点を持つことが重要

◆これまではGoogleやFacebookの広告を活用すると成果が出たが、広告配信精度の低下に伴い同等の成果が出なくなっている

◆これからは広告配信精度の影響を受けないSNSの繋がりが効果的

 

日本でも注目を浴び始めているソーシャルセリングですが、国内で本格的なトレンドとなっているかというと、まだそのレベルではありません。

だからこそ早めにソーシャルセリングに取り組むことが出来れば、競合に先行することが可能なのです。

 

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