ソーシャルセリング実践例【HRテック研究家】株式会社HQ・稲垣亮太さん

HQと稲垣さんについて

 

――今回は、企業向けの福利厚生サービスを多数提供している、株式会社HQで執行役員 VP of Partner Success and Allianceをつとめる、稲垣亮太さんにお話をうかがいます。よろしくお願いいたします!

 

稲垣さん:よろしくお願いいたします!

 

 

――まずは読者に向けて、HQという会社がどのようなビジネスを展開しているのかを説明していただけますか?

 

稲垣さん:HQは創業4年目の、人事領域、特に福利厚生に特化したスタートアップです。「福利厚生をコストから投資へ」というミッションのもと、現在6つのプロダクトを提供しています。

 

従来の福利厚生は、一部の社員しか使われず経営視点ではコストになりがちな側面もありました。

 

私たちは、社員一人ひとりのライフスタイルやニーズに合わせて活用でき、人的資本への投資につながる新しい福利厚生の形を実現したいと考えています。

 

――それらの中で特に注目度の高い、いわば看板サービスはどちらになりますか?

 

稲垣さん:現在、特に多くのお問い合わせをいただいているのが『食事補助HQ』です。

 

街中の飲食店・スーパー・コンビニを社員食堂のように利用できる仕組みで、法人カードで支払うと会社が半額を補助することができます。

 

さらに企業側としては、その補助費用を非課税として扱うことができます。2024年4月の制度改正で、この非課税枠が月3,500円 → 7,500円 に引き上げられる予定であることもあり、導入を検討される企業が増えています。

 

 

――それはうれしい福利厚生ですね! 続いて、そんなHQにおける稲垣さんのポジションとミッションを教えてください。

 

稲垣さん:私は2023年に創業2年目のタイミングで参画し、営業、新規プロダクトの立ち上げ、業務提携などに携わってきました。現在は主にパートナービジネスを担当しています。

 

HQのプロダクトの多くは、各業界を代表する大手企業様との協業によって提供されています。

 

そのため私のミッションは、既存パートナーとの連携を深めながら、新しいプロダクトに合わせた協業スキームを構築していくこと。そして、メンバーの採用や育成を進め、チームの組織力を高めていくことです。

 

――稲垣さんがSNS活用に力を入れようと考えたのはなぜですか?

 

稲垣さん:2年前、当時のHQは今よりもまだ認知度が低い状況でした。

 

限られたリソースの中で、会社の思想や取り組みを直接届けられるチャネルとして、Xはとても重要だと考えていました。CEOの坂本がすでに発信していましたが、会社として複数の人が外部に向けて発信できた方が良いと感じていました。

 

また私自身、社外との接点を持つ役割も多かったため、チャレンジしてみようと思ったのがきっかけです。

 

――会社やサービスの公式アカウントではなく、個人のアカウントを強化していくというアプローチをとられたのには、どんな理由があるのでしょうか?

 

稲垣さん:福利厚生は人事の中でも比較的ニッチな領域なので、福利厚生だけをテーマに発信してもなかなか届きにくいと感じていました。

 

実は最初は福利厚生の話ばかり投稿していたのですが、ほとんど反応がなかったんです(笑)。

 

そこで途中から、人事の方々が興味を持ちやすい、人的資本経営・海外HRテックの動向・組織や働き方のトレンドなどにテーマを広げていったところ、少しずつ見てくださる方が増えていきました。

 

稲垣さんのソーシャルセリング活動

 

――SNSに注力しようと決意した当時、稲垣さんのフォロワー数は100人程度だったと聞いています。そこからどうやって、フォロワー数を増やしていったのかが気になります。

 

稲垣さん:はい。最初に意識したのは、投稿を見てプロフィールを訪れた方が、1秒で「この人は何をしている人なのか」が分かる状態にすることでした。

 

Xでは投稿を読んで興味を持ってくださった方がプロフィールを見に来るので、そこで何を発信している人なのかが伝わらないとフォローにはつながりません。そのため、肩書きやプロフィールの見せ方をかなり意識して整えました。

 

 

――具体的にはどのような支援を受けましたか?

 

稲垣さん:伴走期間の最初は「誰に何を届けるか」を設定するところから始まりました。そこで、ターゲットを幅広く人事に関わる方全般まで広げることになりました。

 

――そこで「HRテック研究家」というキャッチーな肩書きが生まれたんですね!

 

稲垣さん:はい。正直に言うと少し背伸びした肩書きではあるのですが(笑)、人事の方に興味を持っていただくきっかけになると思い、そう名乗ることにしました。

 

過去外資系企業で働いていたこともあり、HRテックの海外動向には個人的にも関心があったので、自分の強みとも重なるテーマでした。

 

結果として、海外イベントに参加したり、有識者の方々とつながるきっかけにもなったので、良い判断だったと思っています。

 

――そこからどのようにしてフォロワー数を伸ばしていったのでしょうか。日々の具体的な活動を教えてください。

 

稲垣さん:特別なことをしているわけではなくて、基本的にはとてもシンプルです。

 

毎日、AIを使って国内外のメディアや論文などの情報を収集し、自分が面白いと思ったものをメモして投稿する。このルーティンを続けています。

 

また初期の頃は、人事領域で発信されている方の投稿にリポストやコメントをしたり、積極的に関わるようにしていました。

 

――柳澤によると、運用を始めて3か月後くらいに大きなブレイクスルーがあったと聞きました。

 

稲垣さん:2024年7月に投稿したウェルビーイングの研究に関するポストが、初めて少し多くの方に見ていただけました。その時に「図解を使うと伝わりやすい」ということに気づけたのは大きな学びでした。

 

それ以降、少しずつですがフォロワーが増えていきました。

 

 

――稲垣さんの過去最大にバズったポストを教えてください。

 

稲垣さん:2025年にラスベガスで開催された「HR Technology Conference」に参加した際のレポートです。

 

帰りの飛行機の中でスライドをまとめて、帰国直後に「リポストしていただいた方に共有します」と投稿したところ、多くの方に見ていただくことができました。

 

かなり大変だったので毎年できるかは分かりませんが(笑)、HRテックに関心のある方に価値を届けられたのは嬉しかったですね。

 

 

――28万ビューはすごいですね。当時はどれくらいのフォロワー数だったんでしょうか?

 

稲垣さん:3,000〜4,000フォロワーくらいだったと思います。この投稿をきっかけにフォロワーが増えていき、現在は1万フォロワーを超え、登壇や取材の依頼をいただくことも増えました。

 

SNSは一つの投稿で急に変わるというより、こうした積み重ねが効いて一段伸びる、そんな感覚があります。

 

――フォロワーが増えたことで、事業にはどのようなポジティブな影響がありましたか?

 

稲垣さん: 業界で有名な著者や有識者の方と直接つながる機会が増え、イベント登壇や取材の依頼をいただくことも増えました。また商談の際に「Xを見ています」と言っていただけることが多く、HQの考え方を事前に理解いただいた状態で話せるため、初回商談がとてもスムーズになっています。

 

採用面でも、会社のカルチャーや思想を理解して応募してくださる方が増えたと感じています。

 

――会社のアカウントではなく、個人のアカウントで発信し続けることは、稲垣さんご自身のキャリアにとっても大きな意味がありそうですね。

 

稲垣さん: もちろん会社の事業として全力で取り組んでいますが、その過程で得た人脈や知識は、結果的に自分自身のポータブルスキルにもなっています。

 

ビジネス目的で始めた取り組みではありますが、個人としての学びや成長もとても大きい。これはSNSを担当する方にとって、大きなモチベーションにもなると思います。

 

 

――一方で、SNSを継続する上での苦労や、フォロワー数に対するお考えをお聞かせください。

 

稲垣さん:何年も続けていると、毎年似たような情報が入ってくるので、正直「新しい学び」が少なくなって投稿が難しく感じる時期もあります。

 

ただ、私の目的はフォロワー数を増やしてインフルエンサーになることではありません。あくまで、HQのビジネスに繋がること。そして、自分自身の学びになること。この2つが大事だと思っています。

 

――Xでの発信が一定の成果を収めた今、SNS活用の次なるフェーズとして考えていることはありますか?

 

稲垣さん:Xはある程度形になってきたので、今後は別のチャネルにも広げていきたいと考えています。まだ構想段階ですが、書籍やコミュニティなどです。

 

Xは引き続き継続しつつ、デジタルだけではなくリアルな場でもつながりを作っていきたいですね。

 

――最後に、これから自社SNSを活性化させたいと考えているビジネスパーソンに向けて、アドバイスをお願いします。

 

稲垣さん:ビジネス目的でSNSを使うのであれば、私は「つながりと学びの場」だと思っています。そのためには、自分を偽らず、自然体で発信することが大事だと思います。

 

自分の強みを活かしたテーマでないと、絶対に継続できません。無理にバズを狙うのではなく、自分も学びながら楽しんで続ける。それが結果的に一番の近道だと思っています。

 

――ありがとうございました!

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