建機レンタル会社向けのDXサービスを数多く提供しているSORABITO(そらびと)株式会社は、2024年4月にゼネコン向けの新サービス『GENBAx点検(げんばてんけん)』をリリース。新たな顧客層にリーチするマーケティング施策を求めてマイノイリティにお声がけいただきました。ここでは同社BtoBマーケティング担当の菊池さんに新サービスの概要・特長と、その新規顧客開拓にマイノリティがどのようにお役に立てたのかを伺います。
――まずは読者に向けて、SORABITO株式会社(以下、SORABITO)がどのような会社なのかを紹介していただけますか?
菊池さん:SORABITOは、建設会社の長男として育った創業者・青木隆幸(現在は取締役会長)が、東日本大震災をきっかけとして「世界中の明日を作る」というミッションのもと、2014年に立ち上げた会社です。当初は建設現場で利用する建機の中古オークションサイトを運営しており、中古建機を多く取り扱っているレンタル会社との繋がりが深くなりました。課題や要望も伺うことが増え、その中で建機レンタル業界向けのDXサービスの提供を開始するに至りました。
――具体的にはどのようなDXサービスを提供しているのですか?
菊池さん:建機レンタルの営業サポートツール『i-Rental 注文』や、建機の点検表、修理伝票をペーパーレス化する『i-Rental 点検』など建機レンタル会社向けのDXサービスを開発・提供しています。
――SORABITOは2014年創業と、すでに10年以上の歴史を持っています。そんなSORABITOがマイノリティの支援を必要とした理由を教えてください。
菊池さん:マイノリティさんには2024年4月にローンチされた新サービス『GENBAx点検』をより多くのお客さまにご利用いただくための支援をお願いしました。
SORABITOの従来の顧客層は建機レンタル会社だったのですが、『GENBAx点検』のターゲットは弊社としてお付き合いの薄いゼネコン(総合建設業者)で、従来のコネクションやノウハウを活かしづらい問題があったのです。近いようで規模も内容も異なる新たな顧客層にしっかりリーチするためのBtoBマーケティング施策を立案・実行する必要がありました。
そうした中、青木がX(旧Twitter)で力になってくれる専門家を募るポストをしたところ、マイノリティの柳澤さんと繋がり、ぜひ一度話を聞いてみようということになりました。
――当然、他にも多くのマーケティング支援会社に相談されたと思います。最終的にマイノリティを選んでいただけた理由を聞かせていただけますか?
菊池さん:まずは弊社と近しい業界の支援実績が多くあり、指南だけでなく一緒に動いていただけるというのが前提でした。柳澤さんに「通常2年かかる成果を半年で実現できるノウハウがある」「無駄な失敗をしないですむようにするのが自分の役割」と言っていただけたことが何より刺さりましたね。
また、他の多くの会社と異なり、プランを提示するだけでなく、実際に伴走しながら手を動かしてくださる点を高く評価し、2024年9月から1年間、『GENBAx点検』のマーケティングを支援していただくことになりました。
――『GENBAx点検』について、サービス内容をもう少し詳しく教えてください。
菊池さん:『GENBAx点検』は、建設現場の安全点検を効率化するツールです。建設機械の始業前点検、設備や足場の点検、作業員の健康チェックなど、あらゆる点検表をペーパーレス化することを目的としています。
――建設現場ではそうしたチェックをこれまで紙の点検表でやってきたのですね。
菊池さん:そうなんです。そのため雨天時や過酷な環境の建設現場では、点検表が汚損してしまうリスクがありました。その点、一連の点検作業をスマホ画面上で行える『GENBAx点検』であればそこまで天候などを気にする必要がありません。デジタル化によって複数現場の点検表を回収・集計・保管する手間もなくなりますし、点検結果を元請け企業がリアルタイムで確認、承認できるメリットも生まれます。これまで大きな無駄になっていたさまざまな非効率を劇的に改善することができるのです。
――『GENBAx点検』の新規顧客を獲得するため、マイノリティからはどのような提案がありましたか?
菊池さん:新規事業ということで潤沢な予算がないこと、スタッフの数にも限りがあることもあり、施策を分散させず展示会にマーケティングリソースを全振りするリード獲得戦略を提案されました。そして、国内にどのような展示会があるのか、『GENBAx点検』がターゲットとするゼネコン向けにはどの展示会が向いているのかも調べてくださいました。
SORABITO側には当時、建設業界向けの展示会への出展経験が浅く手探り状態だったこともあり、このような提案は本当にありがたかったですね。さらに「小間(ブース)の場所はここで問題ないか」「小間のサイズは適切か」といった質問に対しても、経験に基づいた明確なアドバイスをご提供いただいています。
――当時、全く想定していなかったようなアドバイスなどはありましたか?
菊池さん:コンパニオンと名刺スキャナーの導入が展示会で勝つための「鉄板」施策であることを説明され、その費用が必要な投資であると強く説得されました。もちろんコンパニオンの効果は理解していましたが、正直なところ、当時の社内では「私たちの規模の会社にコンパニオンは必要なのか?」「自分たちでやりきれるのではないか」といった議論はありました。ただ、その効果はすぐに出て、柳澤さんの助言が正しかったことが結果で現れました。
なお、コンパニオンの手配については柳澤さんが小間の広さなどから適切な人数を割り出し、リード獲得専門のコンパニオンの手配までしてくださいました。
――マイノリティの支援の成果についてお聞かせください。
菊池さん:マイノリティさんから支援していただく前にも展示会には出展していたのですが、当時のリード獲得件数は自分たちなりに手探りで改善は続けていたものの、支援開始の直前で名刺枚数は3桁に留まっていました。それが支援を受けた最初の展示会でいきなり大台である1,000枚を突破。その後、さらにやり方をブラッシュアップして行き、2025年7月の展示会では前回の2倍以上の名刺をいただくことができました。柳澤さんの「2年かかる成果を半年で実現できる」という言葉は嘘ではありませんでしたね(笑)。
これは予想を大きく上回る成果で、結果として今後予定していた追加施策を一旦停止し、展示会での効率化をさらに追求する方向にシフトすることになりました。また、来年の展示会戦略も前倒しで検討し始めています。
――「展示会での効率化」は具体的にどのようなことを考えていらっしゃいますか?
菊池さん:これまでの私たちのブースって手作り感が強いというか、専門の施工業者さんにお願いせず、ほとんど自分たちだけで設営していたんですね。結果、前職で展示会に出展したときの設営費用と比べて1桁違うくらいの差がありました。そのおかげでリード獲得単価を低く抑えられていたというのはあるのですが、ここでブースの質を高めることで、もっと数を獲れるのではないかと考え始めています。
もちろん、それは選択のひとつで、ほかにもコンパニオンを増やしたり、より大きな小間を契約したり、配布物を充実させたり、いろいろなパターンがありますよね。どれが最も効果的かを現在、検討しているところです。
――そのほか、マイノリティとのやり取りで印象に残っていることがありましたら教えてください。
菊池さん:マイノリティさんのレスポンスが的確かつ素早いことにいつも感心しています。ミーティング後の議事録の即日作成、事前の議題(アジェンダ)送付など、物事を推進するための準備と復習、フィードバックが徹底されているんですよね。問い合わせに対するレスポンスも非常に早く、簡単な調査であれば中1日で回答があり、とても助かりました。
――そろそろ、マイノリティとの1年に渡る契約が終了します(取材は2025年8月に行いました)。この1年を振り返って、どのような感想をお持ちになりましたか?
菊池さん:この1年の取り組みを通じ、展示会で「勝つ方法」を具体的に実行し、BtoBマーケティング、特に建設業界向けの知見を社内に蓄積することができました。これにより、『GENBAx点検』以外の新規事業においても、マーケティング活動の型として応用できる大きな財産を得たという認識です。
マイノリティさんは、SORABITOの課題に対し、単なる戦略提示に留まらず、具体的な行動計画から実行支援、効果測定、そして次なる改善策まで一貫して伴走し、その成長を大きく加速させてくれました。今回の支援によって私たちのマーケティングが「一つ上の段階に上がることができた」という認識でいます。
――最後に読者に向けてメッセージを一言お願いできますでしょうか。
菊池さん:今回、特に強く感じたのは、戦略や全体像といった「マクロ」な視点だけでなく、コンパニオンの手配先やブースの具体的なレイアウトといった「ミクロ」な具体的な実行レベルまで協力してくれるパートナーを探すことの大切さです。
当時のSORABITOはマーケティングに携わる社員数が少なく、大きなビジョンだけを提示されても実行が難しい状況でした。そのような中、マイノリティさんは「ここからやってみましょう」「私がリストを作ってみます」といった具体的な支援を提供してくださり、これが非常にありがたかったと評価しています。また、教科書通りのマーケティング論は多くの場所で目にしますが、現場で起こる具体的な疑問に対する答えは、書籍やYouTubeからは得られません。複数の企業の支援経験から得られたノウハウに基づき、「これは正しいです。定番です」と言い切ってくれるパートナーの存在は、成長のスピードにこだわるわたしたちにとって、大きな推進力になりました。
さらに、マイノリティさんの存在は、社内の議論に対するセカンドオピニオンとしても機能し、視点や意見が偏ることを防ぐなど、SORABITOの適切な意志決定に大きく貢献してくれました。
自社にノウハウがない、人手が不足しているといった状況では、外部パートナーが持つ豊富な経験と知見を活用することが、成長のスピードを格段に加速させる鍵となります。自分たちだけで何とかしようとせず、伴走してくれる専門家に頼ることを検討してみてください。