国内有数のPR企業として知られるベクトルグループの一員としてメディア事業を展開する株式会社スマートメディア。
近年はオウンドメディア支援事業に特に力を入れており、多くの企業がスマートメディアのサービスを活用するかたちでオウンドメディアを成功に導いています。
独自のSaaS型Webサイト構築ツール『Clipkit®︎』を武器に、今後、さらなる事業拡大を目指す同社。その勝機と展望について、同社代表取締役、成井五久実さん、営業責任者の築原智之さん、マーケターの浦将平さんにお話を伺ってきました。
–スマートメディアは近年、オウンドメディア支援事業に力を入れているとのことですが、その背景について聞かせていただけますか?
成井社長:2016年末に起きたキュレーションメディア問題で世の中のメディアに対する信頼が大きく揺らぎました。そしてその結果、企業の一次ドメインから発信される情報に対する信頼が高まるという現象が起きています。結果、現在では検索エンジンなどでもそうした情報が上位に表示されるようになりました。
–その時期にオウンドメディアの大ブームが起きましたよね。従来メディアに頼らない情報発信が加速した印象があります。
成井社長:そんな中、私が20代の時に立ち上げた株式会社JIONを含む、ベクトルグループのメディア領域子会社3社を統合させるかたちで2018年に誕生したのが株式会社スマートメディアです。
当初は引き継いだメディア事業を主軸に展開していたのですが、現在はそうした時代とトレンドの変化を受けて、オウンドメディア支援に特に力を入れるようになっています。–オウンドメディア支援事業におけるスマートメディアの強みはどんなところにあるのでしょうか?
成井社長:自社で『Clipkit®︎(クリップキット)』というCMS(コンテンツ管理システム)を開発しており、スマートメディア単体でシステムからコンテンツ制作までワンストップで提供できることが最も大きな強みだと考えています。
–その『Clipkit®︎』の強みについても教えていただけますか? CMSと言えば、『WordPress』が圧倒的なシェアを誇っていますが、それらと比べてどういったメリットがあるのかを教えてください。
築原さん:1つは「ノーコード」であることです。『WordPress』を含め、一般的なCMSはインターフェースが複雑で、使う側にある程度のコード(プログラミング)の知識が求められるのですが、『Clipkit®︎』に関しては、Webページ制作やデザインの知識が全くないという方でもサイトの運営、ページの制作が可能です。
浦さん:ある部署単位で導入いただいているお客さまからは、『Clipkit®︎』だと、別部署で使っている他のCMSと比べて3分の1以下の料金で同じ機能を追加できると喜んでいただいています。また、何か新しい機能を開発する際にこちらから積極的に提案していく姿勢もスピード感を高め、コスト削減に繫がるととても好評です。
築原さん:さらに、カスタマーサポートが充実しており、日本人スタッフがサイトの立ち上げから運用までをしっかりお手伝いするというところも『Clipkit®︎』ならではの特長です。成井社長:スマートメディアがこれまで培ってきたメディア運用のノウハウを活かした、右肩上がりでページビューが必ず伸びるメディア運営を「プロフェッショナルプラン」というかたちで提供させていただいていることもお伝えしておきたいですね。
–「必ず伸びる」というのはすごいですね!
成井社長:はい、全体の約5%にあたる累計50社以上のお客さまにご利用いただいているのですが、実際、全て成果が上がっており、継続率も99%を記録しています。
築原さん:なお『Clipkit®︎』全体としてのサイト構築実績は累計700サイト以上、現在稼働しているアクティブなサイトが400サイト弱となっています。
–スマートメディアが設立されて、今年でちょうど5年目です。ここまでの困難で特に印象に残っていることがありましたらぜひお聞かせください。
成井社長:そうですね……先ほどお話しした、主軸事業をメディア事業からオウンドメディア支援事業に転換する際の変化が一つ大きな困難を呼びました。当時は独立したメディアとして、それぞれのスタッフが好きなことを好きなように取り上げることができたのですが、オウンドメディアではそういうわけにはいきません。どうしてもクライアントの意向が第一となってきます。
–そうですよね。
成井社長:そうした中、既存のメディアの仕事を愛していた社員には大きな心理的負荷を与えてしまったという反省があります。もちろん、それに対するケアはしてきたつもりなのですが、この転換を機に社を去ってしまった方、関わり方が変わってしまった方も少なくありません。
ただ、今のメディア業界は5年前にあれほど売れていたタイアップ記事が全く動かなくなるなど、極めて変化の激しい世界。その中で生き残り、適応していくためには仕方のない判断であったとも考えています。そこで選択と集中を行う中で、既存事業を縮小させ、会社の全リソースをオウンドメディア支援に捧げるという意思決定を行いました。
–経営者としての判断をされたということですね。これは、これから事業を立ち上げる起業家全てに無関係ではない課題だと感じます。
成井社長:そうですね。既存社員のモチベーション、会社へのエンゲージメント率向上は経営者にとって非常に重要な問題です。特に事業の転換期、過渡期にはそのコントロールがとても難しくなります。スマートメディアは今もまだ、その状況下にあるため、全く気が抜けません。会社を経営していく上で最も困難なことの1つだと感じています。
–ところで成井社長は「連続起業家」を目指しているとお聞きしました。こうしたスマートメディアでの経験を経て、今後どのような起業、経営を行っていくのかを聞かせていただけますか?
成井社長:たくさん、いろいろな事業をやっていきたいですね。中でも今、私が特に注目しているのがウェルビーイング(「善いあり方」転じて「幸福」とも)の分野です。
ひとくちにウェルビーイングと言ってもいろいろあると思うのですが、個人的にはESG投資(「環境=Environmen、社会=Social、公正な企業統治=Governancの3要素を重視した投資活動)などになってくるのかな、と。企業の中でも環境や社会、そして人、そういったところを大切にする経営者に成長していきたいですね。
–具体的にはどんなことを考えていらっしゃいますか?
成井社長:実はそれをスマートメディアで実現すべく、先日、ESG専用のオウンドメディアプランを立ち上げました。今後、社会は売上至上主義からESGを重視する方向へと移り変わっていきますから、私たちの役割も、それに対応しうる企業を創造、支援していくようなものになっていくと考えています。
–スマートメディア、そして『Clipkit®︎』の今後の展望についてもお話を聞かせてください。
成井社長:スマートメディアは「本当によいと思えるコトとヒトをつなげる」をミッションとして掲げています。翻せばこれは、今、とても多くの人や企業が良い情報を発信したいと考えているということ。我々は今後も、オウンドメディア支援事業や『Clipkit®︎』によって、このミッションを愚直に体現していきたいと考えています。
浦さん:そのためにも、今後、より多くのお客さまに使っていただくべく、コーポレートサイトなどへも活用範囲を拡げていきたいと考えています。最終的には『WordPress』に勝つ!……というとまだ言い過ぎなので(笑)、まずは『WordPress』と肩を並べられるようなサービスに成長させていきたいです。
築原さん:『Clipkit®︎』の強みは、企業のステージに合わせた提案ができること。中小企業のオウンドメディア立ち上げから、エンタープライズ企業が大規模にビジネスを展開していくための認知獲得などまで、さまざまな取り組みに活用していただけます。
かつて、大企業のオウンドメディア立ち上げは大規模ベンダーが担うというのが常識でしたが、もうそうした時代は終わりました。ですので、今後は『Clipkit®︎』をより大きな企業に使っていただくケースも増えていくでしょうし、それを目指して活動中です。実際、驚くようなビッグクライアントからのご相談もいただいているんですよ。–そうした展望の実現に向け、マイノリティがどのような支援を行っているかを聞かせていただけますか?
成井社長:これからの時代のマーケティングには、さまざまな視点からのアプローチが必要だと考えています。そうした中、浦一人ではどうしても偏ってしまうところがあるだろうと考えたのがマイノリティと契約した理由です。
また、今後我々が本格的にマーケティング活動を加速させていく中で、柳澤さんのような経験豊富な方とのお付き合いから成長の機会を得たいという狙いもありました。
浦さん:具体的な支援内容としては、来期のマーケティングにおいてどういったアプローチをすべきかといった戦略策定や、私自身手が回っていない現状調査、市場調査、ホワイトペーパー制作などといった部分をお手伝いいただいています。
また、壁打ちといいますか、私の考えやアイデアを聞いていただき、それをレビューしていただくということも定期的にお願いしています。
–マイノリティはどのようにお役に立てていますか?
成井社長:現時点で最も貢献いただいたのは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスといった、SaaS型の組織に会社を再編成しなければならないというところに対して、全体的なコンサルテーションをしていただけたところですね。マイノリティはその点において、とても優れた会社だと感じています。
今後は、さらにマーケティング活動のクリエイティブ面というか、企画の所から入っていただきたいなと。それによって獲得できるリードの質が変わってくると思っているので、これからはそういうところからご指摘いただけるような関係性を築いていきたいですね。期待しています。
インターネット業界は極めて変化が激しく、スマートメディア様は数々の変化に適応されてきました。その中で誕生したのが『Clipkit®︎』。実は、CMSは外資系企業が国内シェアの多くを獲得しており、日系企業による手厚いサポートを望まれる声も高かったと聞いています。
当社では市場調査から着手し、戦略立案を経てSaaSビジネスに最適な営業組織設計のお手伝いをしました。急成長を目指す同社の目標達成をするため、どこにリソースを割くべきか何度も議論を重ね、データを元に合理的な意思決定をして頂くことが出来ました。春以降に本格的な施策実行フェーズに突入します。同社の急成長を支えられるように引き続き貢献していきたいと思います。