――本日は、生成AIを使った架電サービス「nocall.ai」を運営されているnocall株式会社、代表の林さんにお話をお聞きします。よろしくお願いします!
林さん:こちらこそよろしくお願いいします!
――まずは「nocall.ai」(ノーコールエーアイ)について教えていただいてもよいですか?
林さん:一言でいうと、AIが電話をかけてくれるサービスです。例えばサービスLPなどから資料請求をすることってありますよね。フォームに必要事項を入力して送信すると、後から資料が送られてくるような。
――ありますね。登録したメールアドレス宛にURLが届いて、アクセスすると資料が見れるようになるというような。
林さん:そうそう。でもそういった資料って、どれくらい読み込んでもらえたか、どれくらい魅力が伝わったかって、なかなかわからないじゃないですか。場合によってはダウンロードだけされて、読まれないまま放置されているかもしれない。そういうこともあって、提供会社とすれば、できれば営業スタッフに直接説明させたいわけです。
――確かにそうですよね。一緒に資料を見ながら説明すれば、相手に合わせた活用法も提案できるし、質問にもその場で答えられるし。
林さん:仰るとおりです。つまり資料請求してくれたお客さん、つまり見込み客とは、いち早くアポを設定する必要が出てくる。そこでこの資料請求のフローに「nocall.ai」を導入してもらいます。すると資料請求のフォームを送信した1秒後には、その方の番号宛に電話がかかってくるわけです。
――それはもしかして、AIから?
林さん:そうです! 電話に出るとAI音声が「資料請求ありがとうございます」と話し始める。そして「ぜひ詳細を説明したいのでアポイントを取らせて下さい」とお願いするわけです。
そこで相手が「●月●日の●時からなら大丈夫」と言った場合、AIはすぐに担当者のGoogleカレンダーをチェックしに行って、空いていればスケジュール登録をしたり、空いてなければ「この時間はいかがでしょうか」と提案したりする。
――すごい! つまりAIが自動で架電からアポ取りまで完了してくれるわけですね。
林さん:仰るとおりです。しかも従来型の録音音声などと違い、リアルタイムの音声会話で完了できるわけです。「〜をご希望の方は1番を押して下さい」というような作業はまったく必要ないんです。
――なるほど! 実際はAI相手でも、感覚としては人間と普通に会話している感じで進められるわけですね。ちなみに「nocall.ai」は、そういう資料請求のフローに組み込まれることが多いんですか?
林さん:使い方としては大きく分けて2つありまして、1つは今ご説明したようなシーン。WEBから問い合わせが来たらすぐ架電して、追加の情報を伝えたり、アポイントを取ったりするものですね。もう1つは「休眠の掘り起こし」です。例えば1年前に資料請求してくれた方に対して、「新しいキャンペーンが始まりました。ご状況いかがでしょうか」というようなご案内をするパターン。
――ふむふむ。久々のお客さんに何らかのお知らせをするってことですね。どこの企業さんでも多々ありそうな状況ですが、それを人力でやろうと思うと相当大変ですよね。
林さん:本当にそうで、生身の人間が一件一件電話をかけなければいけませんし、場合によっては3回4回繋がらなかったりもする。「じゃあ改めてご連絡します…」みたいなことが延々続いてしまって、時間も労力もすごくかかってしまうんです。
でも「nocall.ai」なら、過去のハウスリスト1万件に対してワンクリックで架電する、みたいなことが簡単にできる。AIなので24時間365日稼働できるわけで、仮に繋がらなかったとしても、自動で定期的に再架電できます。
――ははあ、そう考えるとすごいですね。一度設定さえしてしまえば人が担う部分がほとんどないわけで、企業からするとかなりのコストカットになりそうです。
林さん:まさにそこがこのサービスの強み・魅力だと思っています。電話を受ける側にとっても、人と話すのと変わらない音声会話で済みますから、手間も少なくストレスを感じることもない。まさにWin-Winのサービスだと自負しています。
――確かにそうですよね。私も先日御社が公開されているサンプル音声を聞かせてもらいましたが、かなり人の言葉に近い状態になっていますよね。
林さん:そうなんです。現状はまだ「これはAIだな」とわかる状態ではあるんですが、発音や言葉選びのクオリティはすごいスピードで進化しているので、そう遠くない未来にAIだとわからなくなると思います。
――なるほどなるほど。ちなみにこちらの「nocall.ai」はいつリリースされたんでしょうか。
林さん:2023年の12月にプロトタイプをリリースして、トライアルとして何社かの企業様に使っていただきつつ、ブラッシュアップを半年ほど続けていました。そして2024年の7月に正式版をリリースしたという感じですね。
――導入されるのはどういう会社なんでしょう? …もっとも、架電をまったくしない業界ってあまりなさそうですよね。
林さん:そうなんですよ。先ほど挙げた「資料請求」や「キャンペーンのお知らせ」ってどこの業界でもあるものですし、実際かなり幅広い業界の企業様からお問い合わせをいただいてますね。
――そうでしょうね。ちなみに林さんから見て「こういう業界には特にピッタリ」という業界やシーンはありますか?
林さん:うーん、本当にあらゆる業界のあらゆる会社様にオススメなんですけど(笑)、たとえば不動産業界やカーディーラーさんなんかは相性がいいと思いますね。内見や試乗の予約のアポを取り付けたり、「来月車検ですがどうされますか」みたいな案内をしてもいい。あ、それと意外と医療業界にもオススメで。
――へえ、医療ですか。例えばどんなシーンですか?
林さん:これはいま実際に導入を進めている案件なんですが、歯医者さんの定期検診のお知らせに使おうとしていて。というのも歯医者さんって、定期検診の予約忘れがものすごーく多いんです。皆さん、予約したことをすっかり忘れて来院してくれない(笑)。
そういうことが毎日のように起きていて、確認の電話をしたりスケジュールを調整したりするのにすごい労力がかかっていると。そこでnocall.aiを導入して、「●日は定期点検の予約日ですよ」という電話をかけてあげる。それでリマインドができるし、仮に来れそうになければ別日に変更してもらうと。
――なるほど! それなら予約忘れも減りそうだし、スタッフさんが電話で確認する時間や労力も必要ないわけですね。
林さん:そうなんですよ。さらに言えば、歯医者の台帳システムと連携させることで、すべての患者さんに自動で架電するようにもできちゃいますから。つまり「今日は誰の予約が入ってるんだっけ」と確認する必要すらなくなるんです。
――すごい! それはとんでもないコストカットになりそうです。
林さん:そうなんです。しかも人力でやるより簡単かつ安価に経費削減や業績アップが図れるので、そういう点でかなり注目いただけている実感がありますね。
ということで、弊社に資料請求をしていただければ実際にAIから電話がかかってくるので、興味を持ってくださった方はぜひ実際に体験してみて下さい!
――ちなみにそんな素晴らしいサービスを運営されている林さんですが、そもそもどういう経歴なんですか? もともと起業に興味があったんでしょうか。
林さん:ありましたね。僕は広島出身なんですが、高校の時にちょうど孫正義やスティーブ・ジョブズの本が話題になっていた世代なんですよね。その流れでいろいろな起業家のことを知って、「自分もいつか起業して、こんな大きな仕事をしてみたい!」と。
それで高校卒業後はアメリカのオハイオ州の大学に行ったんです。リベラルアーツが有名な大学なんですけど、自分の興味のあることをガッツリ学べたのですごく面白かったですね。
――へえ、その後はどんなお仕事に?
林さん:帰国してからはインターナショナルスクールの立ち上げ事業をやってました。学校設立のためのあらゆる業務をやりました。事業計画から先生の採用から生徒募集から、英語ができたので本国とのアライアンスもガッツリやってました。
――すごいですね。それは1つの学校をイチから立ち上げた、ということなんですか?
林さん:いや、結局4年くらいやっていたんですが、最終的に7校の立ち上げに関わりましたね。
――7校! そこまでやるともうその道のプロフェッショナルだと思うんですが、その仕事もどこかで辞めることになるわけですよね。
林さん:そうですねすごくやりがいある仕事だったんですが、ターゲットがかなり狭いんですよね。年間の学費が300〜500万円くらいするので、いわゆる富裕層のお子さんしか入ってこない。
それがダメというわけじゃまったくないんですが、先ほど言ったように孫正義やスティーブ・ジョブズに憧れた人間なので(笑)。やっぱりもう少し幅広い層に価値を提供できる仕事というか、世界にインパクトを与えられる事業がやりたいと思って。
それで自分で起業して、最初は教育支援サービス、いわゆるエドテックの分野でプロダクトをリリースしました。「TomoCode」っていうんですが、3人組になって協力しながらデータ分析等を学ぶオンライン教育サービスです。
――へえ! 面白そうですね。1人でやるより継続率も高くなりそうです。
林さん:まさにそこを狙ったサービスでした。コロナもあって当時オンライン教材ってものすごく盛り上がってたんですが、平均すると継続する人が5%くらいしかいなかったんですよね。要は、買うだけで終わってしまうケースが非常に多かった。そこを改善したいと思ってリリースしたんです。
結果、80%近くまで上がったんで、その点では思った以上に成功できたんですけれど。ただ、やっぱりマーケットが小さくてインパクトという意味では満足できなくて。
――なるほどなるほど。それでnocall.aiの事業を始めたわけですね。
林さん:仰るとおりです。toCからtoBに転換したことで、マーケットは圧倒的に大きくなりました。先ほど言ったようにおかげさまでかなり多くの企業様に興味を持ってもらえていますし、高校の頃に憧れたインパクトのある事業がついにできそうだとワクワクしています。
――それではここからは弊社との関わりについてお聞きしていきますが、マイノリティに支援を依頼いただいた経緯はどのようなものだったんですか?
林さん:もともと代表の柳澤さんとはXを通じて知り合っていて、情報交換をしたこともありました。一度ウチのプレスリリースをリポストしてくれたんですが、その時にすごいインプレッションが出たので、「影響力のある人なんだな」と。
――なるほど。そこから実際に支援を依頼いただいたわけですが、どういう部分に期待いただいたんでしょうか。
林さん:nocall.aiも正式リリースできて、さあこれからガンガンPRしていこうと思った時に、営業支援の方にいろいろと話を聞いてみたんです。…でもなんというか、なかなかノリの合う人がいなくて。
――といいますと?
林さん:端的に言うと、皆さん押しが強かったというか(笑)。営業支援の人だから当たり前かもしれないんですけど、言葉巧みにガンガン売り込むスタイルは、ちょっとウチには合わないなと。
それで柳澤さんのことをふと思い出したんですよね。「そういえばキーエンス出身の人だったよな」と。それで改めて経歴を拝見したら、メルカリとかスマートニュースにもいた人で、「なんか凄そうだぞ」と(笑)。それで藁を掴む気持ちで相談させていただいて。
――そうだったんですね(笑)。ちなみにその際の印象はどうでした?
林さん:それが、びっくりするほど売り込んでこないので、逆に驚いちゃって(笑)。強引さやいかがわしさが本当にゼロで、エビデンスベースで淡々と説明してくれたので、「この人だ!」って(笑)。それでご依頼させていただきました。
――そうだったんですね。具体的な支援内容はどのような?
林さん:もう本当にいろいろな面でご支援いただきましたね。当時のウチはオンボーディングが重いのが大きな課題だったのですが、その原因が「トライアル施策」にあると指摘いただいて、そこを改善してもらったりとか。
あとはパートナーセールスの立ち上げでは本当にお世話になりましたね。ありがたいことに「nocall.aiをウチでも売りたい」って依頼をたくさんいただいていたんですが、その座組をどうすればいいかまったくわからなくて。そこは全面的に支援いただきました。
――なるほど。ざっくり「営業周りの支援全般」というところでしょうか。
林さん:そうですね。営業に関わる意思決定については全部相談させてもらっている感じです。
あ、それとSalesforce関連もサポートしてもらいました。それまでウチはGoogle Analyticsでちょこちょこ数字を追うだけだったんですが、そこを全面的に Salesforceに移行して。その際の設計から設定までやってもらった感じです。本当に助かってます。
――ありがとうございます。今後のご要望等があればお聞かせ下さい。
林さん:プロダクトもできて、営業体制も整って、まさにウチはここから本格的にスタートしていくと思っています。組織づくりや採用もどんどん始めていきますので、大きな組織をたくさん見ているマイノリティさんの知見はめちゃくちゃ頼りにしています! 今後ともよろしくお願いします!
――ありがとうございます!本日はnocall株式会社の林さんにお話をお聞きしました!