2021年には、新たなサービスを立て続けに2つも連続リリースするなど、その勢いはとどまることを知りません。 また、顧客満足度が極めて高く、離脱率も低く抑えられていることも「エアリー」シリーズの特長だと言います。
はたしてEDGEはどのようにしてサービスを生み出し、顧客満足度を高めているのでしょうか? その秘訣を同社佐原資寛社長と小中貴晃取締役にお伺いしました。
–「エアリー」シリーズが絶好調ですね! まずはその概要と最新状況を改めて教えていただけますか?
佐原社長:「エアリー」シリーズとは、組織のコミュニケーションを活性化するための組織内SNS、社員個々人の価値観を元に組織の状態を診断するアセスメントサーベイ、そして音声感情解析技術を用いた1on1のためのツールという、3つの柱となるテクノロジーを活用した組織課題解決のためのソリューション群のこと。
新卒採用のための『エアリーフレッシャーズクラウド』を主軸に、昨年リリースした、上司と部下の1on1をサポートする『エアリーフィードバッククラウド』、社員一人ひとりの価値観に合わせたマネジメントを実現する『エアリーマネジメントクラウド』など、現在は8つのサービスを提供中です。
なお、サービス全体として現在約600社、約8万名を超えるユーザーにご利用いただいております。
–その600社も、サントリーさん、テレビ朝日さん、富士フイルムビジネスイノベーションさんとビッグネームばかりですね。
佐原社長:働き方改革やダイバーシティ&インクルージョンが言われている中、時代が変わっていき社員のマネジメントや組織課題を解決する手段がますます求められていくようになるでしょう。
また、新型コロナ禍によるリモートワークの定着で、対面を前提としたマネジメントが難しくなっている状況もあります。
これを最新テクノロジーでなんとか解決したいというニーズは強く、まさにそこに我々の「エアリー」シリーズがドンピシャでハマるのではないかな、と。時代としては追い風が強く吹いているという見立てです。
–「エアリー」シリーズは、第1段の『エアリーフレッシャーズクラウド』の登場から約15年間で8つのサービスをスタートさせ、そのどれもが順調に拡大させています。
その秘訣、どのようにして当たるサービスを生み出し、成長させていったのかについて聞かせていただけますか? ちょっととんでもない勢いですよね。
佐原社長:実はですね……『エアリーフレッシャーズクラウド』の黎明期から、社内で議論をして新しいものを作りあげるというようなことはほとんどやってないんですよ。
それよりも、お客さまの声に耳を傾けて、お客さまが必要とするものを作るということを中心に開発を進めてきました。
たとえばある日、『エアリーフレッシャーズクラウド』をお使いいただいているお客さまから、このシステムを育児休暇取得者とのコミュニケーションに使えないかと言われて作りあげたのが『エアリーダイバーシティクラウド』です。
当時、法改正があって育休期間が長くなっていたこともあり、戻ってきた時に社員が浦島太郞状態になってしまう、休業期間中でも負担にならないライトな繋がりを維持する手段がほしい、という悩みを多くの企業が抱えていたんですよね。
そうした声に対応していたら、いつの間にかプロダクトラインがここまで育っていたというのが真相なんです。 我々はこれを「他力本願」と呼んでいます(笑)。
–なるほど(笑)。とは言え、それは誰もができることではありませんよね?
佐原社長:そうですね。信頼性のないベンダーであれば、仮にお客さまがそのソリューションを使っていたとしても、そこからさらに他の領域に対する課題をヒアリングすることすら難しいでしょう。 そうした中、お客さまからさまざまな問題の解決を相談していただけるというのは、我々の大きな資産の1つだと思っています。
–そうした信頼関係はどのようにして築いていったのですか?
佐原社長:我々は、表出している課題だけを聞いて、自社の得意分野に無理やり持ち込むような対処療法の提案とは異なり、経営者はもちろん現場へのきめ細やかなヒアリングや、科学的な根拠を持ったHRテックを駆使して、お客さまの組織の状態をより深く、正確に診断・可視化した上で、根本的な原因解決に向けた解決法を提案してきました。
そうした姿勢がきちんとお客さまに伝わっていること、そして今お話しした、運用実績に裏打ちされた自信や自負の合わせ技なのかなと考えています。
–ここまでのお話をおうかがいしていると、EDGEは佐原社長のもと、順調に事業を拡大してきたという印象を受けますね。これまで危機や失敗というのはなかったのでしょうか?
佐原社長:いや、すごいのがありますよ(笑)。
2014年に『エアリーフレッシャーズクラウド』を全面リニューアルしたのですが、それがとんでもない大失敗に終わり、あわやサービス終了、事業撤退の危機にまで追い込まれてしまったんです。
–ええっ!? それ、ぜひ、詳しく聞かせてください。
佐原社長:当時は世の中にスマホが普及し、SNSも人気サービスが一新した時期。
主流の表示スタイルがスレッド型からタイムライン型へと切り替わっていく中で、我々もサービスをリニューアルしないと時代の流れに取り残されてしまうという危機感を抱いていました。
そこで従来のシステムをゼロから一新する大がかりなリニューアルを敢行したのですが、それがとんでもない●※△×なデキで……(苦笑)。
それまでのお客さまが使われてきた機能が搭載されていなかったり、目玉の新機能がリリースに間に合わなかったり、本来であればまだ世の中に出せるような完成度になっていなかったんです。
でも、新卒採用向けのサービスということで、この時期までに出したいという気持ちが強く、中途半端な状態で投入する決断をしてしまいました。
しかもサービスを開始してしばらくしたところでシステムに致命的なバグが発生。 情報漏洩やデータ喪失などはなかったものの、対応のために2日間サービスを停止せねばならなくなるなど、ほんとうにさんざんな結果に……。
当然、多くのお客さまから大変なお怒りをいただき、翌年の契約更新率はなんと6割程度というとんでもない数字になってしまいました。
–更新率が6割……! そこからどのようにして立て直していったんですか?
佐原社長:それからの2、3年は、不足している機能をきちんと取り戻すということに集中しました。
カスタマーサクセス部を通じて真摯にお客さまの声に向き合い、派手な新機能を追加するのではなく、本当にお客さまが必要としている機能をとにかく地道に追加していったという感じですね。
ただ、そうして真摯にお客さまと向き合い信頼回復していったことが、先ほどお話ししたお客さまとの信頼関係構築にも繫がっていったのではないかな、と。
失った信頼を取り戻すのには時間がかかりましたが、結果、得たものも大きかったと今では考えています。
–実際、累計利用社数が600社を超えたのも、そのわずか2年後(2016年)ですものね。
佐原社長:はい、そのために小中率いるカスタマーサクセスの部隊も頑張ってくれました。
なお、我々が「エアリー」シリーズを提供していくにあたり、とても重視していることの1つが、解約率いわゆるチャーンレートをいかに抑えていくかということなのですが、新型コロナ禍で少し社会が揺れた時期を除き、今ではこれを月次換算で1%以下に抑えられています。
チャーンレート1%以下というのは、1度契約していただいたお客さまが100か月継続してくださると言うことですから非常に良い数字ではないでしょうか。
–更新率6割(月次チャーンレート換算で3〜4%)の時期から短い期間でそこまで立て直すことができたというのは本当にすごいですね! ちなみに新サービスについての市場の評価はいかがですか?
佐原社長:この新型コロナ禍において上司と部下の関係性、社員のマネジメントに悩んでいる企業は多く、まだ始まったばかりのサービスにもかかわらず、製品説明のセミナーには毎回、数十社のお申し込みをいただいております。
実際、そこから商談に繫がるケースも多く、こうしたソリューションへの史上の注目度が高まっていることをひしひしと感じているところです。
–現在のEDGEのビジネスにおいて、マイノリティがどのようにお役に立てているかを聞かせていただけますか?
佐原社長:マイノリティの柳澤さんにお会いしたのは、まさに中小企業に向けて販売のすそ野を広げていきたいと考えていた頃。
柳澤さんがお持ちの知見やノウハウが我々の課題を解決してくれるのではないかと考え、ご提案をお願いしたところ、まさに我々が求めていた回答をくださり、2021年10月から本格的なお取引を始めさせていただきました。
–具体的にはどのような点で貢献できておりますか?
小中取締役:中小企業に向けたアプローチを強化していきたいという中で、その戦略設計について的確なアドバイスをいただきました。 まさに今、我々は春先の大きな展示会に向けて出展の準備をしているのですが、そのためのリード獲得手法の設計であったりですとか、我々のもつ材料をどのようにホワイトペーパーに落とし込んでいけば、より“刺さる”コンテンツになるのかというところをサポートしていただいてます。
また、ブース設営のための業者向けオリエンや、Webのランディングページ(LP)の作成、果ては市場調査などまで、我々の手が回らない部分を対応してくださっています。 –そうした取り組みの成果というのはもうあらわれていますか?
小中取締役:はい。直近で言うと、2022年2月前半の10日間でおよそ40件弱の新規アポイントを獲得できています。
半年前は月間でも40件くらいでしたから、3倍くらいに拡大したことになりますね。
佐原社長:展示会での名刺獲得手法など、いろいろなご提案をいただいているのですが、そうした設計がそれぞれ秀逸で緻密なんですよね。
小中と「どうやったら思いつくんだ、こんなの」といつも感心しています。
Webの見せ方についてもプロとしての知見をお持ちだと言うことが、この3か月で本当によくわかりました。
今後、我々がより多くのお客さまに使っていただくためには、認知をいかに伸ばしていくかが大切。
そこに向け、今後もマイノリティのお力をお貸しください!
スタートアップが新市場を開拓するためにはターゲットを極限まで絞り、自社の強い領域でのみ戦う必要があります。
EDGE様と対話を重ねる中で、同社の強みは長年の事業運営を通して蓄積された「組織」や「人」に関する課題解決の膨大なナレッジがあることがわかりました。
そのナレッジはターゲットの人事担当者が喉から手が出るほど欲しい情報です。
当社からの最初のご提案はその貴重なナレッジをホワイトペーパーとしてまとめ、多くのターゲットが集まるチャネルでばら撒くという大胆な手法を取ることにしました。
その結果、見込み客からの問い合わせも増え、EDGE様が持つ情報の価値を確信しました。今後も徹底的にターゲットのインサイトを研究した同社の新たな成長ストーリーをつくるご支援ができたらと思います。
※PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、提供しているサービスや商品が、顧客の課題を解決できる適切な市場で受け入れられている状態のこと